身体的フレイルは、機能障害、骨折、入院など健康状態を損ねる危険因子として広く知られています。
身体的フレイルと認知機能は関連している可能性が報告されていますが(こちら)、軽度認知機能障害(MCI)との関連については、明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「身体的フレイルはMCIと関連しているの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にブラジルのKiiti Borgesらの研究チームは、2018年7月までに登録されている5本の論文を解析しています。
結果として、
- 身体的フレイルはMCIと正の関連を認めた。
- 身体的フレイルの診断項目の中で、歩行速度低下と握力低下はよりMCIと関連を認めた。
- MCIの中でも、より高い年齢、より多くの併存症、より低い認知機能、女性は身体的フレイルと関連を認めた。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、対象者数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 身体的フレイル、特に歩行速度と握力がMCIと関連している。
ということになります。
現在広く使われているフレイルの評価指標は、ほとんどが身体的フレイルを評価しています。
最近では認知的フレイルや社会的フレイルの問題も知られるようになってきたので、身体的フレイルだけでなく、MCIを含めて認知的フレイルのことも確認する必要があると思います。