集中治療後症候群(PICS)は発症後1年間の生活機能に影響を与えるの?というお話し

ICUに入室した患者が退室する際には、身体機能、精神機能、認知機能に何かしらの障害を受けることが知られており、集中治療後症候群(Post Intensive Care Syndrome:PICS)と呼ばれています。

 

PICSは予後不良因子であり、医療コストが増大したり1年死亡率が高くなったりすることも報告されています(こちら)。

 

しかし、PICSが発症後1年間の生活機能にどの程度影響を与えるかは明らかになっていませんでした。

 

今回紹介する論文は「PICSは発症後1年間の生活機能に影響を与えるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

2018年にアメリカのOhtakeらの研究チームは、2017年3月までに登録されている15本の論文を解析しています。

 

ICFに基づき、発症後1年間の各領域の障害の程度を調査しています。

 

結果として、

 

  • 心身機能レベルでは、呼吸機能、下肢筋力、呼吸筋力、握力が減少していた。

 

  • 活動レベルでは、6分間歩行距離が減少していた。

 

  • 参加レベルでは、ADL、IADL、運転再開、復職が減少していた。

 

だそうです。

 

しかし、研究間にバラつきがあり、研究数が少ないため、さらなる研究が必要だそうです。

 

結果をまとめますと、

 

  • PICSに陥ると、発症後1年でもICFの心身機能、活動、参加全ての領域に問題を抱える

 

ということになります。

 

集中治療領域では、2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~」が出されるなど、エビデンスが確立されつつあります。

 

しかし、急性期病院の在院日数が短縮されてきている中で、回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟のような後方病棟では、PICSに陥った患者に対してどう対応すべきか、といったことが課題になってくると思います。

 

後方病棟だからこそ、急性期で何が起こっているのかを知ることで、より効果的な治療戦略がたてられると思います。