70歳以上の高齢者では、病院に入院すると、退院時には入院前よりもADL能力が低下している割合が35%と報告されています(こちら)。
そのため、高齢入院患者では、入院中に退院後の生活を見据えて支援サービスの調整が必要になってきます。
支援サービスが必要な高齢入院患者の予測因子については、まだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「高齢患者の退院後の支援サービス必要性の予測因子は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2020年にカナダのKobewkaらの研究チームは、2017年5月までに登録されている6本の論文を解析しています。
結果として、
年齢、身体機能障害、ADL能力障害、フレイルは、退院後の支援サービスの必要性を増加させる高いエビデンスレベルを示した。
脳卒中、IADL能力障害、入院前から支援サービスを受けていることは、退院後の支援サービスの必要性を増加させる中等度のエビデンスレベルを示した。
だそうです。
ただし、どのようなサービスが必要かについては不明で、調査内容や対象者にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
高齢、身体機能障害、ADL能力障害、フレイルに当てはまる患者は、退院後に支援サービスを必要とする割合が高い。
ということになります。
今回の調査では、必要性の予測のみしか調査しておらず、具体的にどのようなサポートが必要かについては明らかになっていません。
サービス内容についての予測まで行えるモデルが、今後の研究で明らかになることを期待しています。