高齢者では、うつ病がフレイルのリスクであることが報告されています(こちら)。
しかし、うつ病に対する抗うつ薬の有効性については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は、「高齢者うつに抗うつ薬は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2019年にカナダのMalleryらの研究チームは、2016年3月までに登録されている9本の論文を解析しています。
結果として、
抗うつ薬とプラセボの間で、効果に差は認められなかった。
抗うつ薬では、有害事象によるドロップアウトがプラセボよりも多かった。
有害事象では、疲労感、便秘、めまいが有意に多かった
だそうです。
ただし、研究方法や対象者にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
うつ病高齢者に対する抗うつ薬は、有害事象が多く、プラセボと効果に差はない。
ということになります。
高齢者ではポリファーマシーが問題となりますが、こういった不要な処方が有害事象を引き起こし、フレイルや機能障害につながっていくということですね。
心リハをやっている人などは、薬剤も確認してリスク管理をしていると思いますが、フレイルリスクを意識して薬剤を確認している人は多くないのではないかと思います。
認知機能が低下している、ふらつきが大きい、筋力が上がらないなど、普段よく見る問題点の中には、薬剤による副作用が隠れているかもしれません。