高齢者の低栄養は、サルコペニアや身体的フレイルなど身体機能の低下と関連しており、改善には栄養補給が有効と考えられています。
しかし、2014年にスペインのCruz-Jentoftらの研究チームが高齢者に対する栄養補助食品を追加する効果を調査していますが、効果については明確になっていませんでした(こちら)。
今回紹介する論文は「高齢者に栄養補助食品の追加は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にイタリアのVeroneseらの研究チームは、2018年9月までに登録された32本に論文を解析しています。
結果として、
- 複合的な栄養補助食品は、椅子立ち上がりテスト(SMD:-0.9)、握力(SMD:0.41)を向上させた。
- 蛋白質補助食品は、筋力を向上させた(SMD:0.24)。
- 蛋白質、ビタミンD、複合的な栄養補助食品はSPPB、TUG、歩行速度を向上させなかった。
- 栄養補助食品は、サルコペニア、フレイルの椅子立ち上がりテスト(SMD:0.6)と握力(SMD:0.35)を向上させた。
- 健常高齢者では、栄養補助食品の効果は認められなかった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、研究方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 栄養補助食品はサルコペニア・フレイルの人の身体機能、筋力を向上させ、特に複合的な栄養補助食品が有効。
ということになります。
健常者では栄養補助食品の効果が認められなかったので、栄養補助食品を誰にでも使用するのではなく、必要性を評価した上で使用する必要があります。
また、蛋白質を多く摂れば良いということをよく言われますが、蛋白質の効果は限定的なので、多種類の栄養素を含んだ栄養補助食品を使用する方が有効そうです。