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筋トレの基礎 スクワット③ 筋活動(殿筋、下腿三頭筋)

スクワット、殿筋、下腿三頭筋|2023.12.22|最終更新:2023.12.22|理学療法士が執筆・監修しています

この記事でわかること
  • スクワットは大殿筋を鍛えるのに有効
  • 両脚よりも片脚スクワットの方が、殿筋に有効
  • スクワットは腓腹筋のトレーニングとしても有効
3分で読めるよ

序文

 前回は、スクワット動作時の大腿四頭筋とハムストリングスの筋活動についてまとめました。今回は殿筋と下腿三頭筋についてまとめます。ここでは、スクワット中にこれらの筋肉群がどのように働くのか、そして異なるスクワットのバリエーションがこれらの筋肉にどのように影響するのかを深掘りしていきます。スクワットを行う際の筋肉の動きを理解することで、スクワットをより効果的にし、怪我のリスクを減らすことができます。

殿筋

 女子サッカー選手14人を対象とした調査では、スクワットは大殿筋を強化するのに最も有効な運動の1つであることが報告されています[1]。

 健常成人21人を対象とした調査では、大殿筋の強化には片脚スクワットが最も効果的な運動の1つであることが報告されています[2]。

 健常成人男性17人を対象とした調査では、ハーフスクワットよりもフルスクワットの方が、大殿筋の筋肥大効果が高いことが報告されています[3]。

 ボディビル選手10人を対象とした調査では、重りを身体の前方で持つフロントスクワットは、重りを後方で持つバックスクワットよりも大殿筋の筋活動が高かったことが報告されています[4]。

 健常成人男性17人を対象とした調査では、チューブバンド負荷をかけて肩関節屈曲をさせた状態でスクワットを行うと、大殿筋活動が活性化されることが報告されています[5]。

 健常成人男性15人を対象とした調査では、スクワット中に内部焦点の口頭指示を受けると、外部焦点の口頭指示と比較して、大殿筋の筋活動が50%高くなることが報告されています[6]。

 健常成人女性22人と膝蓋大腿痛症候群の女性22人を対象とした調査では、両群ともに、内転を伴うスクワットを行うと、中殿筋の筋活動が高くなることが報告されています[7]。

 内反膝変形がある人16人と健常成人16人を対象とした調査では、股関節を15,30,45度内旋させてスクワットを行うと、中殿筋の筋活動が高くなることが報告されています[8]。

 健常成人26人を対象とした調査では、膝関節に抵抗バンドを装着してスクワットを行うと、大殿筋の筋活動は高くなりますが、膝の外反角と脛骨の最大回転角が増加することが報告されています[9]。

 まとめますと、片脚スクワットやフルスクワットは大殿筋を強化するのに特に効果的です。また、フロントスクワットや特定の条件下でのスクワット(内部焦点の口頭指示、チューブバンド負荷、股関節内旋など)は、筋活動を高めることが確認されているので、対象者の特性や目的に合わせて調整することで、より効果的なスクワットが行えます。

下腿三頭筋

 健常成人13人を対象とした調査では、屈曲60度までのスクワットを行った際の腓腹筋内側頭の筋活動は、伸展相で高くなることが報告されています[10]。

 健常成人28人を対象とした調査では、膝関節を意図的に前方または内側に変位させた状態でスクワットを行うと、腓腹筋内側頭の筋活動が高くなることが報告されています[11]。

 重量挙げ選手10人を対象とした調査では、スタンスを広くしたスクワットと狭くしたスクワットを比較すると、スタンスを狭くした方が腓腹筋内側頭の筋活動が高くなることが報告されています[12]。

 健常成人10人を対象とした調査では、足圧中心を30%前方にシフトさせた状態でスクワットを行うと、通常の足圧中心と比較して、腓腹筋外側頭の筋活動が高くなることが報告されています[13]。

 健常成人8人を対象とした調査では、足部を外側に20度向けてスクワットを行うと、0度の場合と比較して、腓腹筋内側頭の筋活動が70%高くなることが報告されています[14]。

 健常成人男性14人を対象とした調査では、バランスディスクの上でスクワットを行うと、マシンスクワットやフリースクワットと比較して、ヒラメ筋の筋活動が高くなることが報告されています[15]。

 まとめますと、屈曲60度までのスクワットでは伸展相で腓腹筋内側頭の筋活動が高まり、膝関節を前方または内側に変位させると同筋部の筋活動が増加します。また、スタンスを狭くすると腓腹筋内側頭の筋活動が高くなること、足圧中心を前方にシフトすると腓腹筋外側頭の筋活動が増加すること、足を外側に向けると腓腹筋内側頭の筋活動が70%増加することが分かっています。さらに、バランスディスク上でのスクワットはヒラメ筋の筋活動を高めることができます。

おわりに

 今回はスクワット動作時の殿筋と下腿三頭筋の筋活動についてまとめました。スクワットのやり方によって、活動が高くなる筋が異なるため、目的に合わせてスクワットのやり方を調整することで、より効果的なスクワットが行えると思います。ただ、筋活動だけを考えると、関節への負担が増加するリスクもあるため、関節への負荷も考慮する必要があります。

本記事の執筆・監修・編集者

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— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) June 2, 2022

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参考文献

[1] Collings, et al. Gluteal Muscle Forces during Hip-Focused Injury Prevention and Rehabilitation Exercises. Med Sci Sports Exerc. 2023 Apr 1;55(4):650-660.

[2] Distefano, et al. Gluteal muscle activation during common therapeutic exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2009 Jul;39(7):532-40. 

[3] Kubo, et al. Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes. Eur J Appl Physiol. 2019 Sep;119(9):1933-1942. 

[4] Coratella, et al. The Activation of Gluteal, Thigh, and Lower Back Muscles in Different Squat Variations Performed by Competitive Bodybuilders: Implications for Resistance Training. Int J Environ Res Public Health. 2021 Jan 18;18(2):772.

[5] Kang, et al. Effects of Shoulder Flexion Loaded by an Elastic Tubing Band on EMG Activity of the Gluteal Muscles during Squat Exercises. J Phys Ther Sci. 2014 Dec;26(12):1883-6.

[6] Coratella, et al. The Effects of Verbal Instructions on Lower Limb Muscles’ Excitation in Back-Squat. Res Q Exerc Sport. 2022 Jun;93(2):429-435.

[7] Felicio, et al. Electromyographic activity of the quadriceps and gluteus medius muscles during/different straight leg raise and squat exercises in women with patellofemoral pain syndrome. J Electromyogr Kinesiol. 2019 Oct:48:17-23.

[8] Hatefi, et al. Squat Muscle Activation Patterns with Hip Rotations in Subjects with Genu Varum Deformity. Int J Sports Med. 2020 Oct;41(11):783-789.

[9] Reece, et al. Barbell back squat: how do resistance bands affect muscle activation and knee kinematics? BMJ Open Sport Exerc Med. 2020 Feb 4;6(1):e000610.

[10] Barbosa, et al. Activity of Lower Limb Muscles During Squat With and Without Abdominal Drawing-in and Pilates Breathing. J Strength Cond Res. 2017 Nov;31(11):3018-3023.

[11] Slater, et al. Muscle Activation Patterns During Different Squat Techniques. J Strength Cond Res. 2017 Mar;31(3):667-676.

[12] Escamilla, et al. Effects of technique variations on knee biomechanics during the squat and leg press. Med Sci Sports Exerc. 2001 Sep;33(9):1552-66.

[13] Kitamura, et al. Muscle Activity Pattern with A Shifted Center of Pressure during the Squat Exercise. J Sports Sci Med. 2019 Jun 1;18(2):248-252.

[14] Rolli, et al. The impact of foot angle on lower limb muscles activity during the back squat and counter movement jump. J Sports Med Phys Fitness. 2022 Jul;62(7):890-897.

[15] Anderson, et al. Trunk muscle activity increases with unstable squat movements. Can J Appl Physiol. 2005 Feb;30(1):33-45.