高齢者の多剤内服(ポリファーマシー)は社会問題となっており、認知機能低下(こちら)や歩行速度低下(こちら)など有害事象と関連しています。
高齢者では降圧薬の使用が多く、ポリファーマシー対策として休薬することを検討されることも増えてきています。
降圧薬を休薬することで血圧上昇などの有害事象が予想されますが、そのリスクについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「降圧薬を休薬するのは安全なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2020年にオーストラリアのReeveらの研究チームは、2019年4月までに登録されている6本の論文を解析しています。
結果として、
死亡や疾患のリスクは、休薬群は継続群と比較して、全ての死因のリスク(OR=2.08)、心筋梗塞リスク(OR=1.86)、脳卒中リスク(OR=1.44)が高くなっていた。
血圧の変化は、休薬群は継続群と比較して、収縮期血圧は9.75mmHg、拡張期血圧は3.5mmHg高くなっていた。
その他の有害事象については、調査されている報告が少なく、休薬の影響は明らかにならなかった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、エビデンスレベルも低いため、今後更なる研究が必要だそうです。
理学療法を受けてる高齢者では、降圧薬だけで何種類も内服されている方をよく目にします。
背景はその人それぞれ異なるため、一概には言えないと思いますが、薬剤数を減らすリスクと継続するリスクをどう天秤にかけるか、また理学療法を行う上でどうリスク管理していくか、を考えていく必要があると思います。