心不全患者では閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)または中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)の有病率が高く、それぞれOSA:26%、CSA:21%という報告があります(こちら)。
心不全患者のOSAに対しては、気道陽圧(PAP)療法が有効であることが明らかとなっています(こちら)。
しかし、心不全患者のCSAに対してはPAPの有効性は明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「心不全患者のCSAにPAP療法は有効なの?」という疑問の応えてくれる論文です(こちら)
2019年に日本のYamamotoらの研究チームは2019年2月までに登録されている16本の論文を解析しています。
結果として
全ての原因および心疾患関連の死亡リスク、全ての原因および心疾患関連の再入院リスクは、PAP療法と通常ケアは差がなかった。
サブグループ解析の結果では、ASVとCPAPの間に差はなかった。
健康関連QOLとNYHA分類は、PAP療法の方が通常ケアと比較してより改善していた。
サブグループ解析では、CPAPの方がASVよりもより改善していた。
睡眠障害のマーカー、左室駆出率、BNP、6分間歩行は、研究間の不均一性が高く、効果は明らかにならなかった。
だそうです。
ただし、エビデンスレベルはいずれも低いので、さらなる研究が必要だそうです。
心不全患者のCSAには、PAP療法の効果は限定的なようですね。
PAP療法は患者さんにとって身体的、精神的に負担となる可能性がありますので、本当に適応かどうかを考えて使用することが大切だと思います。