フレイル状態は様々な疾患の予後不良因子として知られていますが、外科領域においても、術前のフレイルが術後合併症など有害事象の予測因子であるため、術前にフレイルの評価をすることが推奨されています(こちら)。
しかし、フレイルの評価には様々な評価方法が用いられているため、統一した見解を示すことが難しい状況でした。
今回紹介する論文は「術前のフレイル評価はどれが良いの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2020年にイギリスのAucoinらの研究チームは、2018年11月までに登録されている70本の論文を解析しています。
結果として
フレイルの評価には、35の評価指標が用いられていた。
死亡率に対しては、Clinical Frailty Scale(OR=4.89)、Fried Phenotype(OR=3.95)、Physical measures of frailty.(OR=3.21)が関連していた。
合併症に対しては、Edmonton Frail Scale(OR=2.92)、Fried Phenotype(OR=2.47)、Physical measures of frailty(OR=1.98)、Clinical Frailty Scale(OR=1.68)、Frailty Index(OR=1.52)が関連していた。
好ましくない退院先に対しては、Clinical Frailty Scale(OR=6.31)、Fried Phenotype(OR=5.18)、physical measures of frailty(OR=3.94)、Frailty Index(OR=2.29)が関連していた。
せん妄に対しては、Fried Phenotype(OR=3.79)、Edmonton Frail Scale(OR=2.11)が関連していた。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
術前にフレイルをどの評価方法で測定するかで、予後予測に差があるようですね。
どの評価方法を用いるにしても、予測精度が高いものと低いものがあることを認識した上で使用するのが良さそうですね。