慢性腎臓病(CKD)患者はたんぱく質摂取量を制限することが推奨されており、低たんぱく質食により、透析開始の時期を遅らせる効果が認められています(こちら)。
しかし、低たんぱく質食の相対的な有益性と有害性については、まだ一貫した成果は得られておらず、明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「CKD患者に低たんぱく質食は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2020年にオーストラリアのHahnらの研究チームは、2020年9月までに登録されている17本の論文を分析しています。
結果として、
低たんぱく質(0.8~1g/kg/day)と普通食の比較では、死亡率、末期腎不全への進行、GFRの最終値および変化量に与える効果は明らかにならなかった。
超低たんぱく質食(0.3~0.4g/kg/day)と低たんぱく質食(0.58~0.65g/kg/day)の比較では、末期腎不全への移行を遅らせる効果がありましたが、死亡率、GFRの最終値および変化量への効果は明らかにならなかった。
他のアウトカムでは、体重、BMI、低栄養に関しては、群間で差は認められなかった。
だそうです。
ただし、栄養状態への影響など明らかになっていない部分があるため、さらなる研究が必要だそうです。
CKD患者では、少したんぱく質を減らすだけでは、効果は得られそうにありませんね。
0.3~0.4g/kg/dayの超低たんぱく質食は準備が大変そうですが、CKDの進行を予防できるのであれば、費用対効果も望めるかもしれません。