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高齢者に適したエネルギー必要量の予測式は?

栄養状態を評価する上で重要となるのは、エネルギー必要量を推定することです。
エネルギー必要量を推定する方法として間接熱量測定法がゴールドスタンダードですが、高齢者を対象に行うことは困難です。
そこで様々な予測式が考案され、間接熱量測定法と比較した調査が行われていますが、対象者が限定されており、精度に限界がありました(こちら)。
今回紹介する論文は「高齢者に適したエネルギー必要量の予測式は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

2021年にイタリアのOcagliらの研究チームは、2019年11月までに登録されている68本の論文を解析しています。
結果として、
最も信頼性が高かったは、検査値(ICC=0.81)と体重(ICC=0.75)を考慮して作成された予測式であった。
逆に、信頼性が低かったのは、BMI(ICC=0.43)と身体活動量(ICC=0.23)を考慮して作成された予測式だった。
性差では、女性の方が全体的に予測式の信頼性が高かった
肥満群と正常体重群の比較では、肥満群の方が全体的に信頼性が高かった
体重を含んだ予測式では、嚥下障害患者、糖尿病患者、Charlson Comorbidity Index(CCI)が高い患者で信頼性が高かった
検査値を含んだ予測式では、非嚥下障害患者非糖尿病患者信頼性が低かった
だそうです。
ただし、研究間で調査方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。

日本ではHarris-Benedict式が広く使われていますが、検査値が含まれていないので、やや信頼性は低くなるかもしれません。
ですが、エネルギー必要量はどの予測式を使用してもあくまで「推定」なので、実際に摂取しているエネルギー量と体重などの栄養指標の変化をモニタリングすることが大切だと思います。

 

この記事のライター
宇野勲先生