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変形性膝関節症に対して患者教育は有効なの?

変形性膝関節症(膝OA)は世界的に重要な課題であり、世界全体の有病率は3.8%で、機能障害に与える影響は全ての疾患の上位11番目と報告されています(こちら)。
また、膝OAに対する人工関節置換術(TKA)は今後も増加することが予想されており、オーストラリアの調査では、2030年までにTKAは276%増加し、医療コストが総額5億2,100万豪ドル追加で必要になると試算されています(こちら)。
OA全体い対しての患者教育の有効性については、一部の調査で有効性が認められていますが(こちら)、膝OAに対しての有効性についてはまだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「変形性膝関節症に対して患者教育は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

 

2021年にシンガポールのGoffらの研究チームは、2020年4月までに登録されている29本の論文を解析しています。
結果として、
介入には患者教育単独と他の介入を含めた複合介入が含まれていた。

患者教育単独
痛みに対しては、通常ケアと比較して、短期的には有効性が認められ(SMD=-0.35)、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
また、運動介入と比較すると、その効果は劣っており(SMD=0.77)、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
中期的および長期的には、通常ケア同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。
また、運動介入と比較すると、同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。
身体機能に対しては、通常ケアと比較して短期的には有効性が認められ(SMD=-0.31)、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
また、運動介入と比較すると、同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。
中期的には、通常ケアと比較して同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
運動介入と比較すると、同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。

患者教育と運動療法の併用
運動単独介入と比較して、痛みに対しては短期的および中期的同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
身体機能に対しては、短期的同程度の効果が認められ、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
患者教育単独と比較して、痛みに対しては短期的には有効性が認められ(SMD=0.44)、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
中期的および長期的には同程度の有効性が認められ、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。
身体機能に対しては、短期的および中期的に有効性が認められ(SMD=0.81、0.39)、エビデンスの質は「確実性が低い」だった。
長期的には同程度の有効性が認められ、エビデンスの質は「非常に確実性が低い」だった。
だそうです。
ただし、介入方法や評価方法にバラつきがあり、不均一性が高いため、さらなる研究が必要だそうです。

 

患者教育は、運動介入を併用することでその有効性を高められるようですね。
痛みに対しては包括的な介入が有効であることは、腰痛など他の痛み研究でも報告されているので、複合的な介入を行うことが大切だと思います。

 

この記事のライター
宇野勲先生