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SARC-Fは信頼できるの?

サルコペニアは高齢者にとって機能障害や能力障害、転倒など様々な有害事象の原因となります。
しかし、医療関係者の中でも、サルコペニアの概念を知っている人は69.7%、診断基準を知っている人は21.4%と、まだまだ周知されていないのが実情です(こちら)。
また、医療機関であれば機器を用いた体組成分析も行えると思いますが、地域や介護施設など機器がない場所ではスクリーニングが大切になってきます。
サルコペニアのスクリーニングとして開発されたのが「SARC-F」で、サルコペニアの診断をする際にはSARC-Fを用いることが推奨されています(こちら)。
SARC-Fは5項目の質問から作成されており、EWGSOP2やAWGS2019の診断基準にも含まれています(こちら)。
ただ、開発当時のSARC-Fは診断基準によって制度にバラつきがあり、信頼性を疑問視されていました(こちら)。
しかし、この調査では含まれた研究数が少なかったため、より規模の大きな調査が必要でした。
今回紹介する論文は「SARC-Fは信頼できるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

 

2021年にオーストラリアのVoelkerらの研究チームは2020年4月までに登録されている29本の論文を解析しています。
結果として、
評価者間信頼性は4件、再現性は6件、内的一貫性は6件が調査をしていた。
評価者間信頼性については4件中2件れており、残りの2件良好だった。
再現性については6件中5件良好であり、残り1件中等度だった。
内的一貫性については6件中4件低く、残り2件高かった
SARC-Fの感度特異度はEWGSOPで34.0%82.9%、AWGSで28.9%86.8%、FNIHで30.6%85.8%、IWGSで33.6%88.9%、EWGSOP2で53.3%68.9%、SCWDで55.3%84.0%だった。
SARC-Fの改変版であるSARC-CalF感度特異度は、EWGSOPで57.2%87.9%、AWGSで53.8%87.7%、FNIHで45.9%90.5%、IWGSで49.4%91.3%だった。
だそうです。
ただし、調査方法にバラつきがあり、研究数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。

 

欧州とアジアのサルコペニア基準であるEWGSOP2とAWGS2019では、SARC-Fでのスクリーニングが含まれていますが、感度は低いので、SARC-Fで陽性となった人に対してはより詳細な検査を行う必要があるかもしれません。

 

この記事のライター
宇野勲先生