はじめに
心臓手術を受ける患者さんでは、術後に呼吸機能が低下し、術後肺合併症を発症するリスクが高くなります(こちら)。
この術後の呼吸機能低下を予防、改善する方法の一つとして吸気筋トレーニングがあります。
吸気筋トレーニングとは、吸気に伴い抵抗がかかるように設定された器具を用いて行われるトレーニング方法です。
吸気筋トレーニングは、健常者、アスリート、フレイル高齢者、開腹手術を受ける患者さんなど、様々な対象者でその有効性が示されています(こちら)。
心臓手術を受ける患者さんにおいても、吸気筋トレーニングが有効な可能性がありますが、有効性についてはまだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「心臓手術を受ける患者さんに吸気筋トレーニングは有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
概要
2021年にインドのDsouzaらの研究チームは、2020年6月までに登録されている5本の論文を解析しています。
結果
効果あり(平均差) | 効果不明 |
6分間歩行距離(+78.05m) 努力性肺活量(FVC:+3.47%) 1秒量(FEV1:+5.80%) FEV1/FVC比(+0.47) 最大吸気圧(+4.70cmH2O) 入院期間(-1.82日) |
最大呼気圧 |
でした。
ただし、研究数が少なく、研究間の方法にバラつきがあるため、更なる研究が求められます。
まとめ
吸気筋トレーニングは器具さえあれば自主トレーニングとして行えますし、器具自体も安価で手に入ります。
心臓術後のリハビリテーションを円滑に進めていくためにも、吸気筋トレーニングを行うことは有効だと思います。