脳卒中患者の歩行障害に対する介入には様々なものがあり、その中で運動イメージの有効性が報告されています(こちら)。
しかし、運動イメージが他の介入方法と比較して有効かどうかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「運動イメージは他の治療法と比較して、脳卒中患者の歩行障害に有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2020年にブラジルのSilvaらの研究チームは、2020年2月までに登録されている21本の論文を解析しています。
結果として、
歩行速度に対しては、他の治療よりも効果があるという非常に低いエビデンスが認められた。
サブグループ解析では、脳卒中のタイプ、脳卒中発症からの期間、介入時間、運動イメージのやり方、歩行自立度、は関連していなかった。
運動機能に対しては、他の治療と差がなかったという非常に低いエビデンスが認められた。
サブグループ解析では、慢性期、筋感覚イメージを用いた介入で有効性が認められた。
歩行能力に対しては、他の治療と差がなかったという非常に低いエビデンスが認められた。
サブグループ解析では、1000時間未満で有効性が認められた。
だそうです。
ただし、いずれもエビデンスレベルは非常に低かったため、さらなる研究が必要だそうです。
効果についてはまだエビデンスレベルが低いですが、効果がないというわけではありません。
運動イメージは特別な機器を用いず、どこでも、どのレベルの患者さんでも取り組め使いやすいので、脳卒中患者さんの歩行トレーニングの一つの選択肢として有用だと思います。