会員登録はこちら

まずは14日間無料体験
すべてのコンテンツが利用可能です

COPD患者に徒手療法は有効なの?

 

はじめに

 

厚生労働省のデータでは、2019年度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡者数は17,836人で、男性の死因の第8位となっています[1]。
COPD患者の理学療法では運動療法の効果が認められていますが、徒手療法についても、その有効性を示す報告が出てきています[2]。
しかし、COPD患者に対する徒手療法の有効性については、まだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「COPD患者に徒手療法は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[3]。

 

研究概要

 

2021年に韓国のRohらの研究チームは、2021年1月までに登録されている13本の論文を解析。

対象

対象国:アメリカ、オーストラリア、ブラジル、イタリア、ポーランド、中国、パキスタン。
年齢:57~71歳
介入期間:1日~112日、平均36.5日。
介入回数:週1~6回、合計1~40回(平均10.7回)。
介入内容:オステオパシー技術、チュナ(韓国の伝統徒手療法)、軟部組織療法、脊椎マニピュレーション、専門的な理学療法、hold and relax、横隔膜リリース、胸郭のモビライゼーション。

結果

徒手療法のみVS偽介入

有意差なし 有意差あり
 

 

FEV1
FVC
FEV1/FVC
VC

 

 

 

 

RV
TLC
6分間歩行距離

 

 

徒手療法+薬物療法VS薬物療法のみ

有意差なし 有意差あり
 

 

FEV1
FVC
FEV1/FVC
6分間歩行距離

 

 

徒手療法+呼吸リハVS呼吸リハのみ

有意差なし 有意差あり
 

 

FEV1
FVC
VC
TLC
RV
6分間歩行距離

 

 

 

ただし、介入内容や調査方法にバラつきがあるため、更なる研究が必要と述べられています。

 

まとめ

COPD患者に対する徒手療法は偽介入や薬物療法のみと比較すると効果がありそうですが、呼吸リハのみとの比較では追加の効果はなさそうです。
現時点では、呼吸リハが行えていれば、徒手療法を追加する有用性はないかもしれません。

 

 

参考文献

[1]一般社団法人 GOLD日本委員会 COPD情報サイト
http://www.gold-jac.jp/copd_facts_in_japan/

[2] Polastri, et al. Medicina (Kaunas). 2019 May 17;55(5):151.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31108862/

[3] Roh et al. PLoS One. 2021 May 18;16(5):e0251291.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34003822/

 

この記事のライター
宇野勲先生