はじめに
脳内出血は脳卒中の中でも脳梗塞に次いで多く、致死率は1か月で40%、1年で54%と高くなっています。
また、長期的に機能障害が残存する割合も12~39%と高くなっています[1]。
脳出血患者さんでは、84%の人に何かしらの認知機能障害が生じると言われています[2]。
認知機能障害は日常生活の自立度や生活の質に影響を及ぼしますが、脳出血後の認知機能障害の予後については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「脳出血後の認知機能障害の経過はどうなっているの?」という疑問に応えてくれる論文です[3]。
概要
2021年にアメリカのPotterらの研究チームは、2020年11月までに登録されている32本の論文を解析しています。
結果
対象者
アメリカ,フランス,日本,ノルウェー,オランダ,イギリス,中国,台湾,フィンランド,スペイン,イタリア,スコットランド,エクアドル,デンマーク,メキシコ,ポルトガルと多国籍のデータであった。
調査期間
3か月(29%)、6か月(21.9%)、1年(18.8%)の順で多く、12日から10年と幅があった。
認知機能障害罹患率
12日目 | 84% |
2週間後 | 75.2% |
3週間後 | 82.4% |
3か月後 | 17.3〜40.2% |
6か月~12か月後 | 19.0〜63.3% |
1年後 | 4.2~43.8% |
2年後 | 19.8% |
3年後 | 19.1〜24.5% |
40か月後 | 47.4% |
4年後 | 28.3% |
5年後 | 1000人/年当たり14.6人 |
10年後 | 1000人/年当たり11.8人 |
と、最初の2年間で低下し、その後は一度増加し、3年以降に再び減少することが示された。
また、障害は主に視空間処理、処理速度、非言語性IQ、実行機能、注意、記憶の領域に多くなっていた。
ただし、研究間で方法のバラつきがあるため、さらなる研究が必要であるの述べられています。
まとめ
今回の結果から、脳出血後の患者さんでは、急性期が最も認知機能障害の割合が高くなり、減少と増加を経て、一定の割合でプラトーになるようです。
脳出血後の患者さんに発症前にはなかった認知機能障害を認めた場合には、発症からの時期を確認することで、その後の認知機能障害の経過を予測することができるかもしれません。
参考文献
[1]:Sang Joon An, et al. J Stroke. 2017 Jan;19(1):3-10. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28178408/
[2]:Gargi Banerjee, et al. J Neurol Sci. 2018 Aug 15;391:25-30. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30103965/
[3]:Thomas Potter, et al. Front Neurol. 2021 Aug 27;12:716632. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34512528/