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トレンデレンブルグ跛行とデュシャンヌ跛行の本当の原因は? Part2 新人セラピスト成長記録(回復期)#06

臨床で感じたこと
私は実習生の時に1時間のリハの内、40分程度もしくは最後少し歩く程度までの間、ずっとベッドで臥位となりストレッチや関節可動域運動、筋力増強運動をしている場面を見たことがあります。そこで、側臥位となり股関節外転運動の反復練習をした後に歩行を実施して跛行が改善されたか効果判定をするセラピストを多く見ました。確かにベッド上での外転運動は上手くなっていくのですが、跛行に変化はありませんでした。私は改善がみられなかったことから「なぜだろう?」と疑問を抱き、跛行と中殿筋について調べました。そして、臥位での練習ではそのままの単純な股関節外転運動は上手くなるが、歩行には転移しにくいと学びました。例えば、バスケットボールの選手はバスケットゴールにシュートするのは上手いですが、野球の投手としてストライクを投げることは難しいと思います。また、野球をしたことが無いボディビルダーが野球選手と同程度のプレーをすることは難しいと思います。これらのことから、筋力があっても実動作は上手く出来ない、ベッド上で練習しても立位・歩行に転移しにくいということが分かります。つまり、運動学習も重要であるということです。立位と臥位では重心の高さや支持基底面の広さ(安定した環境or不安定な環境)、傾きに対する前庭系の働き、股関節外転筋の収縮様式(ベッド上では求心性、立位・歩行では静止性or遠心性)など負荷量、課題難易度が全然違います。しかし、荷重下での運動量が多いと疼痛が増悪する場合や恐怖心がある場合、立位・歩行では著明にアライメントが崩れる場合など、ベッド上で介入する理由・目的があれば実施するべきとも思っています。

実習で気づく前までの私はトレンデレンブルグ跛行やデュシャンヌ跛行の原因を聞かれたら「中殿筋の筋力低下」としか答えられませんでした。また、跛行改善を目的とした側臥位での股関節外転運動は正しいリハ内容だと思っていました。それはその筈で講義では股関節外転筋力の低下による跛行だと習っていたからです。確かにその通りではあるのですが、それだけしか習っていなかったのです。実習は個々の分野を学ぶだけでなく、それらを統合させて学習・経験する機会です。しかし、私は実習の期間だけでは足りないと感じています。その為、症例検討のような多分野の内容を取り入れた講義など、もっと多く実施するのも良いかもしれませんね。

今回の執筆では、臨床の先輩方に実習中の悩みや新人セラピストが悩んでいることについて知っていただきたいという思いで執筆しました。
私自身、実習に対して心残りがあります。それは触診を積極的に実施できなかったことです。実際に患者さんを目の前にしたり、PTの先生方の視線を感じ緊張したり、間違ったら怖いという恐怖心などからパフォーマンスが低下したのではないかと考えています。しかし、触診とハンドリングをしないと分からないことが多くあると学びました。
その為、いつかバイザーになり、患者さんの許可を頂けたら、実習生が触診とハンドリングをしやすい環境にしたいなと思っています。メモ帳を手に持つ暇が無いくらいが良いですね(笑)。

この記事のライター