早期にリハビリテーション(リハ)を開始することは、様々な疾患で有効性が認められており、各種ガイドラインでも推奨されています。
COPDに関しては、少し意見が異なっていました。
2017年に欧州呼吸器学会と米国胸部学会が出したガイドラインでは、COPDの急性増悪で入院した際に早期リハを行うと、死亡率を上昇させる可能性があることが示されました(こちら)。
しかし、早期リハは死亡率を上昇させるという内容はエビデンスレベが非常に低く、監視下と非監視下の早期リハが混在したデータでした。
そのため、監視下で管理された件での早期リハの効果はまだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は、「COPD急性増悪時の監視下早期リハは効果があるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にデンマークのRyrsøらの研究チームは、2017年10月までに登録された13本の論文を解析しています。
結果として、早期リハは
- 死亡率(リスク比:0.58)、入院日数(-4.27日)、再入院(リスク比:0.47)を減少させた。
- 健康関連QOL(SGRQスコア-19.43ポイント)、6分間歩行距離(76.89m)を改善させた。
だそうです。
ただし、複数の論文で不明瞭なバイアスリスクがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- COPD急性増悪時の早期リハは、死亡率、入院期間、再入院を減少させ、QOL、運動耐容能を向上させる。
ということになります。
今回の結果で、2017年に否定されていたCOPD急性増悪で入院した際の早期リハは、監視下で行えば効果があることが明らかになったわけですが、早期リハについて懐疑的な見方をする人がいることも事実なわけです。
似たようなケースでは、脳卒中の超早期リハ(24時間以内)は有害事象が増えるという報告があります(AVERT study)。
COPDでも同じように、どのくらいの時期から開始するか、どの程度の負荷を与えるかで結果は異なるのではないかと思います。
いずれにせよ、更なる研究でより信頼性が高い根拠が示していただけることを期待しています。