COPD患者の上肢動作は、健常者と比較して呼吸困難感の増強、呼吸補助筋の過剰努力、肺過膨張増悪などが観察されています(こちら)
そのため、COPD患者では下肢だけでなく上肢のトレーニングも推奨されています。
COPD患者では、呼吸補助筋の関係で下肢と上肢では運動時に異なる反応が出ることが予想されますが、反応の差は明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「COPD患者では、下肢と上肢で運動時の反応は違うの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にスウェーデンのFrykholmらの研究チームは、2017年10月までに登録されている18本の論文を解析しています。
結果として、
エルゴメータでは、酸素消費量、一回換気量、分時換気量、作業負荷は上肢の方が高かった。
心拍数、呼吸数、SpO2、呼吸困難感は上肢と下肢で差はなかった。
筋力トレーニングでは、上肢と下肢で差はなかった。
機能的運動では、上肢と下肢で差はなく、運動の種類や強度で反応に差が生じていた。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、対象者数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
運動時の反応は、エルゴメータでのみ上肢が下肢より負担が大きい。
ということになります。
筋力トレーニングや機能的運動では上肢と下肢に差がないのは興味深いですね。
エルゴメータ以外の運動を選択する際には、上肢下肢に捉われず、どんな課題が必要かを評価して運動内容を調整する必要があると思います。