COPD患者では、運動時の低酸素が運動を制限せざるを得ない阻害因子となっています。
その対応策として、運動時のみ酸素吸入を行う方法があり、作業能力が向上することが報告されています(こちら)。
しかし、有効性を示さない報告もあり、運動時の酸素吸入の有効性はまだ不明でした。
今回紹介する論文は「COPD患者の運動時の酸素吸入は効果あるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年に中国のLiuらの研究チームは2019年5月までに登録されている7本の論文を解析しています。
結果として、
- 最大パワー、最大エネルギー消費量、呼吸困難感、6分間歩行距離、QOLに対して、酸素吸入による効果は認められなかった。
だそうです。
ただし、研究の質が低いため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- COPD患者の運動時に酸素吸入することは、運動能力、呼吸困難感、QOLに効果がない。
ということになります。
生理学的に考えれば、動作時に酸素化が低下する時に酸素吸入すれば運動能力は向上しそうですが、必ずしもそうはならないということですね。
解剖学、生理学、運動学の知識は重要ですが、「本当に効果があるのか?」といつも疑って見ることが大切だと思います。