高齢者の認知機能に対する運動介入の効果については多くの先行研究がされていますが、認知機能のどの部分に効果があるのかについてはまだ明らかになっていませんでした(こちら)。
今回紹介する論文は「運動はMCI高齢者の認知機能のどの部分に効果的なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2020年に中国のZhouらの研究チームは、2018年4月までに登録されている11本の論文を解析しています。
結果として
全般的な認知機能(MMSE、ADAS-cog)は、運動介入で改善した。
注意機能(DSF、DSB、DSF/Backward、Stroop Test A、Stroop test B)は、運動介入で改善した。
記憶力(Wechsler memory scale immediate recall、delayed recall)は、運動介入で改善した。
言語能力(Category Verbal Fluency Test, letter、verbal fluency test)は、運動介入で改善した。
視空間認知(BDS)は、運動介入で改善した。
効果が高い順に並べると言語能力>実行機能>記憶力>視空間認知だった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、不均一性も認められたため、さらなる研究が必要だそうです。
MCIはフレイルのリスク因子でもあるので、運動介入を行うことで身体的、認知的な機能の維持・向上を図ることが要介護や疾患リスクの低減につながるかもしれません。