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高齢者の生活場所に関する意思決定プロセスはどのように経験されているの?

高齢者が増加していく中で、地域でケアを受ける高齢者も増加しています。
高齢者は誰とどこで過ごしたいかについての考えを持たれていますが、ケアを行う立場の人との間で意見のズレが生じてしまうこともあります(こちら)。
しかし、このような意思決定プロセスについて、どのような経験がなされているかは明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「高齢者の生活場所に関する意思決定プロセスはどのように経験されているの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

 

2021年にスペインのSerrano-Gemesらの研究チームは、2017年11月までに登録されている44本の論文が解析されています。
結果として、
高齢者では、ポジティブな経験(28項目)よりもネガティブな経験(61項目)が多く報告された。
ポジティブな経験では、「場所の熱望」「以前の経験」「感情の支援」のカテゴリーが多く、ネガティブな経験では「恐怖」「不安」「困難」のカテゴリーが多かった。
家族では、ポジティブな経験(31項目)よりもネガティブな経験(63項目)が多く報告された。
ポジティブな経験では「専門家のサポート」「非公式の社会的サポート」「苦痛の軽減」のカテゴリーが多く、ネガティブな経験では「不安」「困難」「対立」のカテゴリーが多かった。
専門家では、ポジティブな経験(3項目)よりもネガティブな経験(7項目)が多く報告された。
ポジティブな経験では「満足感」「成功体験」「中立的で非指示的であること」のカテゴリーが挙げられており、ネガティブな経験では「失望」「倫理的ジレンマ」「気が進まない」「対立」「緊張」「恐怖」「不安」のカテゴリーが挙げられていた。
しかし、同じカテゴリーの経験であっても、その中身は群間で異なっていた
だそうです。
ただし、専門家の経験に関する報告が少なく、調査方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。

 

高齢者の生活場所についての意思決定プロセスでは、それぞれの立場で経験していることが異なることを知っておくことは大切なことだと思います。
特にネガティブな経験に対しては、対策を講じる必要があると思います。

 

 

この記事のライター
宇野勲先生