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脂溶性と水溶性?なぜ必要?過剰・不足での症状の違い【リハ栄養基礎④】ビタミン・ミネラル

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脂溶性ビタミン水溶性ビタミンミネラル|2022.11.4|最終更新:2022.11.4|理学療法士が執筆・監修しています

ビタミンとミネラルの基礎

前回は身体を形作るのに不可欠なたんぱく質についてみていきました。今回は身体の調子を整えるのに大切なビタミンやミネラルについてみていきたいと思います。

本記事でわかること

✅ 脂溶性ビタミンは、主に免疫など身体の機能を正常に保つ働きがある

✅ 水溶性ビタミンは、主に代謝に必要な酵素を補う働きがある

✅ ミネラルは、主に身体の組織の反応を円滑にする働きがある

 

脂溶性ビタミン-効果・働き・欠乏すると?-

脂溶性ビタミンにはA、D、E、Kが含まれます。脂溶性ビタミンは水に溶けない性質があり、脂肪組織や肝臓に貯蔵されています。その性質上、体外に排出されにくいため、過剰に摂取すると過剰症状を生じやすいため、摂取量に注意が必要になります。

 

ビタミンA

ビタミンAはレチノイドとも呼ばれ、体内でビタミンA活性を有する化合物はおよそ50種類と言われています。主な働きには網膜細胞の保護作用があり、視細胞の光刺激に対する反応にとって重要な働きをしています。また、皮膚の状態や免疫機能を調整する作用もあり、欠乏すると夜盲症、皮膚乾燥・角質化、免疫機能低下などの症状が出現します。

 

ビタミンD

ビタミンDは食品から摂取するだけでなく、日光の紫外線を浴びることによっても生成することができます。ビタミンDは肝臓で代謝され、その後腎臓で活性型に変換されます。活性型となったビタミンDが標的となる細胞の受容体に結合することで、様々な作用が発現されます。

ビタミンDは腸管や腎臓でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成と成長を促します。また、血中カルシウム濃度を調節し、神経伝達や骨格筋の収縮などを正常に保つ働きもあります。

ビタミンDが欠乏すると低カルシウム血症となり、骨軟化症が誘発されます。反対に過剰摂取となった場合には高カルシウム血症や腎障害、軟部組織の石灰化などが生じます。

ビタミンE

ビタミンEはその大部分がαトコフェロールと呼ばれる物質であり、摂取基準もαトコフェロールを基準に決められています。

ビタミンEは生体膜を構成する不飽和脂肪酸や他の成分を酸化障害から守る働きがあります。また、過酸化脂質の生成を抑制する働きもあります。

欠乏すると抗酸化能力が低下するため、神経系や筋骨格系、内臓系など各組織の機能障害が生じます。

ビタミンK

ビタミンKはK1からK5まで存在し、それぞれ代謝過程や働きが少しずつ異なる。主な働きとしては、肝臓でプロトロンビンやその他の血液凝固因子を活性化し、血液凝固を促進します。また、オステオカルシンというたんぱく質を活性化させることによる骨形成の促進動脈硬化の石灰化を抑制する働きもあります。ビタミンKが欠乏することで血液凝固が遅延したり骨折しやすくなったりするなどの症状が現れます。

水溶性ビタミン-効果・働き・欠乏すると?-

水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込んでおり、過剰分は尿として排出されます。そのため、過剰症状は基本的には稀と言われています。ビタミンB群ビタミンCが含まれます。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はチアミンとも呼ばれています。グルコースやアミノ酸の代謝に関与しています。欠乏することで脚気やウェルニッケ脳症、神経炎などの症状が現れます。

 

ビタミンB2

ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれています。TCA回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化などのエネルギー代謝に関与しており、欠乏すると成長抑制、口内炎、舌炎などの症状が現れます。

 

ナイアシン

ナイアシンはニコチン酸やニコチンアミドと呼ばれる物質の総称です。ATP産生、抗酸化、脂肪酸の生合成、ステロイドホルモンの生合成などの働きがあります。欠乏するとペラグラ(皮膚炎、下痢、精神神経症状)が生じます。

 

ビタミンB6

ビタミンB6はピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミンと呼ばれる物質が含まれています。アミノ酸や脂質の代謝の補酵素として働き、免疫機能の正常な働きの維持、皮膚抵抗力の強化、ヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの働きがあります。欠乏するとペラグラ様症状、脂漏性皮膚炎、舌炎、精神症状、脳波異常、けいれん発作などが生じます。

 

ビタミンB12

ビタミンB12はコバルトを含む化合物で、シアノコバラミンを始め5つの物質が含まれています。奇数鎖の脂肪酸や一部のアミノ酸(バリン、イソロイシン、トレオニン)の代謝の補酵素としての働きがあります。欠乏することで悪性貧血や末梢神経障害が生じます。

 

葉酸

葉酸はプテロイルモノグルタミン酸を基本構造として有している化合物です。赤血球の成長、DNAやRNAの合成、アミノ酸代謝、タンパク質の合成、細胞の増殖などの働きがあります。欠乏すると巨赤芽球性貧血や高ホモシステイン血症が生じます。また、妊婦では葉酸が欠乏することで胎児の神経管閉鎖障害や無脳症を引き起こす危険性が高くなります。

 

ビタミンC

ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれています。皮膚や細胞のコラーゲン生成、抗酸化作用、鉄吸収促進などの働きがあります。欠乏するとコラーゲンの生成ができないため、血管がもろくなり出血しやすくなります(壊血病)。また、鉄分の吸収効率が低下するため、貧血のリスクも高くなります。

ミネラル

ミネラルは生体を構成する主要物質である酸素、炭素、水素、窒素以外の物質の総称で無機質とも呼ばれます。体内で合成できないため、常に食物から摂取する必要があります。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどを微量ミネラルに分類されています。

 

ナトリウム

ナトリウムは細胞外液の主要な成分であり、浸透圧や酸塩基平衡の調節に重要な働きをしています。また、胆汁、膵液、腸液の材料としても働いています。過剰になることで高血圧や体液分布の異常などが生じます。反対に、欠乏すると意識障害や筋痙攣などの症状が現れます。

 

カリウム

カリウムは細胞内液の主要な成分であり、ナトリウムと同様に体液の浸透圧や酸塩基平衡の調節に関与しています。また、神経や筋肉の興奮伝達にも関与しています。過剰になると不整脈が出現するようになり、重度になると心停止に至ります。反対に欠乏すると、不整脈や筋力低下、筋痙攣などが生じます。

 

カルシウム

カルシウムは体重の1〜2%を占め、その99%は骨や歯に存在し、残りの約1%は血液や細胞などに含まれています。欠乏すると副甲状腺ホルモンの分泌が増加し、骨を分解して血中カルシウム濃度を一定に保とうとします。そのため、カルシウムが不足すると骨粗鬆症のリスクが高くなります。また比較的軽度の低下でもテタニーが生じるリスクが高くなります。過剰になると軟部組織の石灰化や腎結石、精神神経症状、筋力低下などが生じます。

 

マグネシウム

マグネシウムは50~60%が骨に存在しています。骨や歯の形成、体内の酵素反応、エネルギー産生に関与しています。欠乏すると筋痙攣やテタニー、悪心嘔吐などが生じます。反対に過剰になると下痢症状が出現し、進行すると低血圧、呼吸抑制、ナルコーシスなど生命に関わる症状が出現します

 

リン

リンは85%が骨組織に、14%が軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在しています。骨格の形成、ATPの産生、核酸や細胞膜リン脂質の合成、リン酸化を必要とするエネルギー代謝などに関与しています。欠乏すると骨軟化症や神経筋障害、意識障害などが生じます。

 

はたんぱく質と結合しているヘム鉄とそうではない非ヘム鉄に分類されます。ヘモグロビンや各種酵素の構成要素として重要な働きをしています。欠乏すると貧血や運動機能、認知機能の低下を引き起こすリスクが高くなります。

 

亜鉛

亜鉛は主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布しています。各種触媒作用や組織の構造維持に関与しています。欠乏することで皮膚炎、味覚障害、免疫機能障害、成長障害などを生じるリスクが高くなります。

 

は、約65%は筋肉や骨、約10%は肝臓中に分布しています。各種酵素の活性化に関与しており、エネルギー生成、鉄代謝、神経伝達物質の産生、活性酸素除去などの働きがあります。

 

マンガン

マンガンは約25%は骨に、残りは生体内の各組織および臓器にほぼ同程度分布しています。骨の成長、糖・脂質代謝、運動機能、皮膚代謝などの酵素反応に関与しています。欠乏すると骨の異常、成長障害、妊娠障害などが生じるリスクが高くなります。

 

ヨウ素

ヨウ素は70〜80%が甲状腺に存在しています。甲状腺ホルモンを構成しており、エネルギー代謝や脳・末梢組織・骨格筋など各組織の成長に関与しています。欠乏することで皮膚障害、精神機能障害、痙直などを生じるリスクが高くなります。

 

おわりに

今回はビタミンとミネラルについてみてきました。ビタミンもミネラルも多くの種類の物質があり、それぞれが多様な働きをしています。患者さんや利用者さんの様子から「何か調子が良くないな」と感じた際には、ビタミンやミネラルが適切に摂取されているかという視点も必要かと思います。

 

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参考文献

[1] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版). 2020年