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リハ栄養ケアプロセス① ICF分類用いたアセスメント・原因と根拠に基づく診断

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リハ栄養ケアプロセスアセスメントリハ栄養診断|2022.9.30|最終更新:2022.9.30|理学療法士が執筆・監修しています

リハ栄養を学習するうえで

前回はリハ栄養の定義や基本的な考え方、求められる背景などについて記載しました。今回からは、リハ栄養を進めていく流れである「リハ栄養ケアプロセス」について書いていきます。今回はリハ栄養ケアプロセスの入り口であるリハ栄養アセスメントとリハ栄養診断についてみていきたいと思います。

本記事でわかること

✅ リハ栄養ケアプロセスは課題解決手法の1つ

✅ リハ栄養アセスメントではICFを用いて全人間的評価を行う

 リハ栄養診断では原因と根拠が重要

リハ栄養ケアプロセスとは

リハ栄養ケアプロセスは
障がい者や高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養素摂取・フレイルに関連する問題に対して,質の高いリハ栄養ケアを行うための体系的な課題解決手法」と定義付けされています。

 

リハ栄養ケアプロセスの流れは、
リハ栄養アセスメント・診断推論」「リハ栄養診断」「リハ栄養ゴール設定」「リハ栄養介入」「リハ栄養モニタリング
の順番で行うことが推奨されています。

 

リハ栄養という言葉が頭についていますが、基本的な流れは我々セラピストが普段行っているリハビリテーションアプローチとほとんど同じとなっています。患者さん、利用者さんを目の前にしたときに、いきなり介入する方はいないと思います。

 

まず、その方が何に困っていて、その原因は何なのかを明らかにする必要があります。

 

適切なアセスメントがなされなければ目標設定もズレてしまいますし、その後の介入もズレてしまいます。ただ、いつも100%のアセスメントが行えるわけではありません。

 

そのため、モニタリングを正確に行うことでアセスメントからの流れが適切かどうか、適切でなければ何が違っていたのかといった軌道修正を行うことができます。リハ栄養ケアプロセスのサイクルを回すことは、より質の高い介入を行うために必要な考え方と言えます。

リハ栄養アセスメントは全人間的評価が大切

リハ栄養アセスメントでは、国際生活機能分類(ICF)を用いた全人間的評価が重要です。

 

アセスメントの指標としては、現病歴、既往歴、病前の生活状況、今後の意向、機能評価、IADL・IADL、社会参加状況、生活習慣、各種検査結果など多岐にわたります。それぞれの指標に関して、リハ栄養的な問題となり得るものに関する情報を中心に収集します(例えばサルコペニアや低栄養の原因となっているもの)。

 

特に病前のフレイル、サルコペニア、栄養状態などに関連する生活状況は、今後の目標設定や介入していく上でのリスク管理を行うために重要な情報となります。

 

リハ栄養アセスメントでは、多くの情報が必要になります。そのため、手元にあるカルテ上での情報だけでなく、ご家族、担当のケアマネージャーさん、使用しているサービスの担当者、かかりつけ医など、様々な情報源から情報を得る必要があります。その人を疾患や障害で括るのではなく、1人の「人」として考えていくことが大切になります。

リハ栄養診断は原因と根拠を明確にする

次に、リハ栄養アセスメントで得た情報を元に栄養障害サルコペニア栄養摂取の過不足の有無について、それぞれ診断していきます。いずれの項目においても、重要なことはその問題点が生じている「原因」と「根拠」を明確にすることです。

栄養障害

栄養障害では、まず低栄養なのか過栄養なのかを確認します。低栄養の評価については、GLIM基準や悪液質の基準など、国際的に信頼性と妥当性が検証されているツーを用いて診断を行います。過栄養の評価につきましては、BMI腹囲などが用いられることが多いですが、どれが最も優れているかという検証はまだ十分になされていません。そのため、現時点ではその場で測定ができる評価方法で診断することになります。

 

栄養障害の評価につきましては、今後の「リハ栄養の評価」の記事で書きますので、ここでは詳細は割愛いたします。栄養障害をみる上では、栄養素の過不足の状態についても確認する必要があります。

 

各種栄養素には、それぞれ過剰症状欠乏症状がありますので、食事摂取状況や血液データと症状を照らし合わせ、特定の栄養素が過不足状態にないかどうか確認します。ビタミンや微量栄養素は、疾患や治療の影響で過不足状態になりやすいので、食事状況だけでなく、疾患のコントロール状況点滴・投薬状況等も確認する必要があります。

サルコペニア

次にサルコペニアについてですが、栄養障害と同様に国際基準(AWGS2019、EWGSOP2など)を用いて診断を行います。サルコペニアの診断基準の中には大掛かりな機器を用いる必要がある評価もありますが、それぞれ代替手段がありますので、そちらを用いて診断をしていくことになります。サルコペニアの評価につきましても、今後の記事で詳細を書きますので、ここでは割愛いたします。

栄養素摂取の過不足

最後に栄養素摂取の過不足についてです。先述した栄養素の過不足と混同しやすいのでお気を付け下さい。栄養素摂取の過不足を考える上では、現時点で過剰症状や欠乏症状があるかどうかは問われません。現在の食事摂取状況からみて、各栄養素の摂取量が「日本人の食事摂取基準」などの推奨摂取量より多いか少ないかで判断をします。そのため、栄養素摂取の過不足が生じているということは、現時点では問題になっていなくても、今後過剰症状や欠乏症状といった問題が生じるリスクが高い状態であると言えます。

 

栄養障害、サルコペニア、栄養素摂取の過不足それぞれについて、その存在の有無だけでなく、有無を判断した根拠は何か、有りの場合にはその原因は何かについて、深く考えていく必要があります。そうすることで、次のゴール設定の際に、どこに注力すれば良いかが明確になり、より質の高い介入が行えるようになります。

おわりに

今回はリハ栄養ケアプロセスの基本的な考え方、リハ栄養ケアプロセスの中のアセスメントと診断について記載しました。本文でも書きましたが、何となくではなく、その人について深く、広く情報を収集し、何が問題で、その原因は何なのかを根拠を持って判断できるようにしていく必要があります。次からは今回得た情報を元にゴール設定を行い、介入していく過程について記載していきます。

 

本記事の執筆・監修・編集者

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✅記事監修(✅編集(てろろぐ

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