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脳卒中,パーキンソン病,トレッドミル|2022.07.14|最終更新:2022.07.14|理学療法士が監修・執筆しています
✅ 脳卒中患者には、ケイデンス、全体の歩幅、麻痺側の歩幅に効果あり。 ✅ パーキンソン病患者には、歩幅に効果あり。 |
はじめに
脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患患者さんでは、異常歩行となることが多く、日常生活の支障となることが少なくありません[1]。
歩行トレーニングは急性期から慢性期まで、病期と問わず歩行能力改善の効果が認められています[2]。
歩行トレーニングの方法には様々なものが検討されており、トレッドミル歩行は下肢の適切な動きとタイミングを促進するため、代償的な歩行メカニズムを軽減し、正常な歩行パターンを促進する可能性が示唆されています[3]。
しかし、脳卒中やパーキンソン病患者さんに対してのトレッドミル歩行の有効性については、まだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「脳卒中やパーキンソン病患者さんにトレッドミル歩行は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[4]。
研究概要
2022年にアメリカのBishnoiらの研究チームは、2021年12月までに登録されている32本の論文を解析。
対象
対象疾患:脳卒中19件(慢性期11件、急性期11件、亜急性期1件(重複あり))、パーキンソン病13件(12件がHoehn and Yahrスケール1〜3.5)
平均年齢:脳卒中:52.4歳~75歳、パーキンソン病:58歳~73.7歳
対象者数:脳卒中:14名~50名、パーキンソン病:13名~40名
結果
脳卒中
効果あり | 効果不明 |
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|
パーキンソン病
効果あり | 効果不明 |
|
|
ただし、健常高齢者との比較が行えておらず、対象者数が少ないため、さらなる研究が必要と述べられています。
まとめ
以前から、脳卒中・パーキンソン病の理学療法ガイドラインでは、その有効性が高いグレードで示されていましたが、
今回のその裏付けをさらに強くする報告が示された形になりました。
歩行パラメータが改善することは効率の良い歩行につながるため、脳卒中患者さんやパーキンソン病患者さんの移動に対する意欲の改善にもつながる可能性があると思います。
ただ、日常生活を考えれば通常の床面上の歩行練習も大切になってくるので、対象者に合わせて歩行練習方法を組み合わせていくことが大切だと思います。
本記事の執筆・監修・編集者
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地域在住高齢者では、70分/回×週2回×16週間の運動介入を行うと、プレフレイルの46%、フレイルの50%がそれぞれロバストやプレフレイルまで改善したそうです。https://t.co/E0fiqzFPr7
— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) June 2, 2022
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参考文献
[1] Moon, et al. Hum Mov Sci. 2016 Jun;47:197-208.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27023045/
[2] Peurala, et al. J Rehabil Med. 2014 May;46(5):387-99.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24733289/
[3] Polese, et al. J Physiother. 2013 Jun;59(2):73-80.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23663792/
[4] Bishnoi, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022 Feb 28;19(5):2824.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35270516/