ミラーセラピー, 運動療法, 手指 |2022.08.26|最終更新:2022.08.27|理学療法士が執筆・監修しています
はじめに
行動観察や運動イメージなどは脳卒中患者さんや手部損傷患者さんの手指機能改善のリハビリテーションで用いられている手法の1つで、ミラーニューロンを活性化させることで運動野や感覚野の活動を促進することが報告されています[1]。
ミラーニューロンを活性化させる手法として、運動イメージを用いた神経リハビリテーション技術[2]、ミラーセラピー[3]、行動観察[4]の有効性が報告されています。
しかし、それぞれの手法について、複数の報告を統合した有効性はまだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「ミラーニューロンを活性化させる手法は手指機能改善に有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[5]。
✅ 手指機能の改善には効果あり。 ✅ 手指の巧緻性の改善、可動域の拡大には効果不明。 |
研究概要
2022年にイタリアのTofaniらの研究チームは、2021年2月までに登録されている11本の論文を解析。
対象
対象者数:11名~40名
介入内容:ミラーセラピー9件、運動イメージ2件
介入期間:
ミラーセラピー:週2回~5回、3週間~11週間
運動イメージ:2週間
結果
ミラーセラピー
効果あり | 効果不明 |
|
|
※運動イメージ、行動観察については研究数が少ないため、統計的解析不可。
ただし、研究数が少なく、介入方法にもバラつきがあるため、更なる研究が必要と述べられています。
まとめ
ミラーニューロンを活性化させる目的で行われる手法は、そのメカニズムが解明されつつあり、神経リハビリテーション領域では良く用いられています。
しかし、実際にはまだまだ効果検証が十分ではないというのが現状のようです。
今後研究が進み、ミラーニューロンをターゲットとした介入の有効性が明らかになることを期待しています。
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地域在住高齢者では、70分/回×週2回×16週間の運動介入を行うと、プレフレイルの46%、フレイルの50%がそれぞれロバストやプレフレイルまで改善したそうです。https://t.co/E0fiqzFPr7
— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) June 2, 2022
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参考文献
[1] Keysers, et al. Neuron. 2004 Apr 22;42(2):335-46.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15091347/
[2] Benzy, et al. IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng. 2020 Dec;28(12):3051-3062.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33211662/
[3] Garry, et al. Exp Brain Res. 2005 May;163(1):118-22.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15754176/
[4] Buchignani, et al. BMC Neurol. 2019 Dec 27;19(1):344.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31881854/
[5] Tofani, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022 May 2;19(9):5526.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35564920/