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【高齢者向け】臥位/ベッド上で効果の高いトレーニング方法3選【大殿筋】

【投稿日: 2022年2月1日 18:00】
#トレーニング方法 #筋力訓練 #大殿筋

大殿筋

 

 


基本的ポイント

起始
腸骨の腸骨翼の外面で後殿筋線の後方、仙骨の外側縁、尾骨の外側縁、胸腰筋膜、仙結節靭帯。

停止
腸脛靭帯、大腿骨殿筋粗面。
作用
股関節の伸展、外旋、内転(下部)、外転(上部)

Q. なぜ必要な運動なのか
・(大殿筋・下部繊維)歩き始め、お尻を上げる動作の働きにつながる
・大殿筋の筋繊維が仙腸関節に対して垂直に並んでいるため、大殿筋が収縮することで仙腸関節を圧迫し骨盤の安定化に寄与するため。
・仙腸関節痛患者などは正常時、大殿筋と他の筋肉の筋活性化の不均等が起きている。選択的に訓練することで、正常な筋収縮を学習できる点。

 

上記を踏まえて、
なんとなくで筋力訓練をしないために、可能な範囲でエビデンスを集めています。
今回は殿部筋力訓練を紹介します。

 

 ブリッジ動作訓練

引用文献(中道哲朗 他:筋力低下に対するアプローチより

イメージ

    

回数:10~15回  セット数:1~3セット 週:5~7日
難易度:下記要素を取り入れる量で変化

 

この姿勢で上記回数を本人の負担に合わせて行うと良いです。
患者さんは年齢や体重、併存疾患や疼痛の有無、運動習慣によって可能な回数は様々だと思います。

 

報告では最大筋力(1RM)の40%~50%でも効果があることが言われており、高強度でなければ筋力増強が見込めないわけではありません。
逆に負荷量が高すぎれば過用性の筋力低下が生じることも考えられます。

 

1日、1週間単位での仕事量(負荷量×回数×セット数)を意識し、
Borg scaleなども患者さんの訴えを聴取する上で活用することも必要です。

 

各患者さんの栄養面やリスク面に応じて柔軟に回数・セット数を変更してくださいね。

 

ここからは詳しく方法・その論拠を書いていきます。

 

効果的に鍛えるには(運動の際の注意点)

ポイント①:膝関節屈曲角度を意識すること

・浅い場合→大殿筋+ハムストリングス
・深い場合→大殿筋

が主体となって働きます。90度を目安に膝の屈曲角度には注意しましょう。

 

ポイント②:頸部は屈曲位とし、上肢支持はしないこと
・頸部伸展位とするデメリット
頸部伸展位となると頭部を床面に押し付けることになってしまい、これが胸腰椎の過伸展につながります

こうなると主に働く筋は最長筋や腸肋筋、多裂筋の筋活動が増え、肝心の大殿筋が鍛えにくいです

・上肢で支持をするデメリット
上肢支持をしてしまうと、肩関節を伸展させ、肩甲骨内転・下方回旋、胸・腰椎伸展が強調され、骨盤伸展が得られにくいためです。

・『お尻を高く上げて』は禁句?
患者さんはお尻を上げようと思うと、どうしても胸腰部や上肢での代償動作が入ってしまいます。あくまで股関節伸展を促すという意味であることを忘れないように声掛けをしてください。

 

好ましくない例

これを踏まえると下記イメージでのトレーニングは選択的な訓練とはなっておらず、非効率です。
・上肢支持や胸腰椎の伸展、膝関節の屈曲角度が大きい状態でのブリッジ。

⇒この肢位では、選択的な筋力トレーニングとはならず、鍛える筋肉は脊柱起立筋群やハムストリングスを含め、多岐にわたり、この運動の役割が全身調整運動になってしまう。
イメージ

具体的な方法(難易度/負荷量・姿勢・回数)

 

前述を踏まえた効果的な大殿筋を鍛える姿勢がこちら
イメージ
    

方法 
① 頭部の後ろで上肢を組んで頭部を挙上させます。
*できない場合は枕で頭の位置を高くし、上肢は胸の前で組みます。
② 膝関節を90度程度またはそれ以下に屈曲させます。
③ 臀部を高く上げることを目的にせず、股関節の伸展を意識してもらいましょう。

 

EX. これでも足りない!という人には…

Sun-Young Kang らは,
股関節外転位とすることで大殿筋をより効果的に鍛えることができると報告しています。

その理由として、
”股関節外転0°や15°での運動と比較して
股関節外転角度が30°である場合、脊柱起立筋の表面筋電図のデータが有意に減少した
また、骨盤前傾が0°の場合と比較して有意に低かったとしています。

イメージ

    

そのため、

上画像のような股関節を30度程度開いた状態でのブリッジは、より高負荷でのトレーニングが期待できると思います。

 

片脚でのブリッジ動作訓練

引用文献(兵頭 甲子太郎:片脚ブリッジ動作における筋電図学的検討より)

イメージ

    

回数:10~15回  セット数:1~3セット 週:5~7日
難易度 MMT3以上が必要(両脚ブリッジより難易度高い)

 

効果的に鍛えるには(運動の際の注意点)

ポイント:腰部の挙上を起こさず、骨盤後傾運動を行う。

骨盤の後傾運動を行う際には、通常腹筋群の活動が必要になります。
そのため、ブリッジ動作時に腹筋の収縮を促すことで、脊柱起立筋の筋活動が有意に減少し、
大殿筋の活動が増加するため、腹部の筋収縮を意識するとgoodです。

基本のブリッジ動作の運動のポイントを押さえつつ、上記も意識できれば良いです。

また、報告によると、この運動は股関節外転筋への訓練にもつながるため、
大腿筋膜張筋、中臀筋に対して改善を認めており、その意味でもこの運動を行うことは有用です。

 

具体的な方法(難易度/負荷量・姿勢・回数)

引用文献(兵頭 甲子太郎:片脚ブリッジ動作における筋電図学的検討より)

イメージ

  

回数:10~15回  セット数:1~3セット 週:5~7日

方法 

① 膝関節90度で通常のブリッジ動作をします。
② そこから対側の下肢は膝関節屈曲位で床から離します。
③ そのままの姿勢で5s保持します。
④ ①~③を繰り返します。

両足をついた状態でのブリッジ動作より難易度は上がりますが、
効果は大きくなります。

 

 

腹臥位:股関節伸展運動
(PHEKF:prone hip extension with knee flexion)

イメージ

   

回数:10~15回  セット数:1~3セット 週:5~7日
難易度 ①⇒③へ向かうほどきつくなる。(下記参照)

 

効果的に鍛えるには(運動の際の注意点)

ポイント①膝関節90度屈曲位


ACL Sakamoto らは、

膝関節伸展位(KE)
膝関節屈曲位(KF)
股間節外転位+膝関節伸展位(LHRKE)
股間節外転位+膝関節屈曲位(LHRKF)

上記4つの姿勢で、腹臥位股関節伸展運動を実施。
筋電図による記録、定量化の結果、
KFまたはLHRとKFとの組み合わせで行う運動は大殿筋の活動が増大するとしています。

膝関節屈曲位である方が良い理由は⇒こちら

 

 

ポイント②股関節15度外転位

 

Suehiroらによると、
股関節を外転位に保持することで、大殿筋の筋繊維の走行方向と筋の牽引方向が平行になり、筋発揮がよりしやすくなると報告しています。

 

 

 

ポイント③股関節20度外旋位
Suehiro らの研究では、
股関節を外旋することで、外旋しない時と比較して、大臀筋の活動が有意に高くなったとの報告があります。

これは、股関節外旋位とすることで大殿筋が短縮した状態になり、筋収縮が非効率となるため、より大殿筋の筋活動が増加する必要があったのではないかとしています。

具体的な方法(負荷量・難易度)

以上を踏まえた訓練姿勢がこちらです。

 

回数:10~15回  セット数:1~3セット 週:5~7日
難易度 ①⇒③へ向かうほどきつくなる。(写真は①⇒④)

方法 

①腹臥位の状態になり、訓練側の膝関節を90度屈曲
このまま⇒④でも効果はありますが、さらに効果を高くするのであれば、
②股関節を15度外転
さらにさらに難易度をあげるのであれば、
③股関節を20度外旋
④股関節を伸展させます。(挙上角度は5~10度)

 

 留意点

ここで参考文献として用いた論文の対象者は、高齢者に統一したものではなく、
健常な若年者に対しての研究結果がほとんどです。

また、大殿筋の筋力増強や筋肥大を確約するトレーニングではありません。

どんな訓練方法にも言えることではありますが、患者さんの病態、年齢、既往歴。
患者さんによって異なる不確定な要素が数多くあります。

患者個々人のリスク管理を徹底した上で用いてみてくださいね。

【この記事は理学療法士が監修・執筆しています】

 

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参考文献

中道 哲郎, 渡邊 裕文:特集障害別アプローチの理論 筋力低下に対するアプローチ. 関西理学 14:11-15,2014.

Kang SY, Choung SD, Jeon HS. Modifying the hip abduction angle during bridging exercise can facilitate gluteus maximus activity. Man Ther. 2016 Apr;22:211-5. 

Suehiro T, Mizutani M, Okamoto M, Ishida H, Kobara K, Fujita D, Osaka H, Takahashi H, Watanabe S. Influence of Hip Joint Position on Muscle Activity during Prone Hip Extension with Knee Flexion. J Phys Ther Sci. 2014 Dec;26(12):1895-8.

ACL Sakamoto,LF Teixeira-SalmelaJ. Phys. Ther. Aug 2009 ; 13 (4)  :335-42.