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【学生・新人向け】動作分析のコツ9選

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新人,評価,実習 |2022.01.19|最終更新:2023.01.25|理学療法士が監修・執筆しています

 

 

学生時代、そして働き始めてからも苦手だと感じているのが動作分析です。

正直、学生時代に何度も何度も練習したROM測定やMMTなどよりも、動作分析する機会の方が多い気がします。

残念ながら、学生時代に動作分析をする機会ってそこまで多くありません。

なのに働いてから毎日必ずするほど重要になる動作分析、今回はここ数か月の経験や先輩方の助言、文献や論文を元にコツを紹介していこうと思います。

 

 

動作分析とは?

 

高橋1)は、動作分析を「経験に基づいた理学療法士の目と手を用いた仮説証明作業による治療指向的な評価」と述べています。難しい言葉が並べられていますが、動作を見て、ここが悪そうだからこんな治療をしようと方向性を決めるための評価ということです。「経験に基づいた」ここが大切な部分になるかと思います。石井2)も動作分析は個人個人の経験に基づいていることを述べています。
つまり、経験がないのだから学生や新人は動作分析が苦手なのは当たり前なのです。

学生や新人の動作分析としてボトムアップ式が多いことが述べられています1)

ROM、筋力、感覚など一度全部検査する→動作を見る(寝返り、歩行等)→ADLを把握するという方法です。

これに対し、経験のある理学療法士はADL動作を見る→必要なROMや筋力、感覚を検査するといったトップダウン式をとることが多いです。

前者では圧倒的に時間がかかるというデメリットがありますが、全ての問題点を見つけることができます。しかし、いざ臨床に出てみると、ほとんどの人が後者のトップダウンで評価をしています。経験や知識のないまま後者をやっても、動作を見て何を測ればいいの?としまったのが私です・・・。新人に与えられる1単位も、先輩の1単位も同じ時間です。どうすれば上手く動作分析ができるようになるのでしょうか?

 

 

正常の動作を知る

 

ここが一番大切な部分になります。正常を知らなければ異常がわかるはずがありません。この動作をするためにはどういう要素が必要なのか?を知る必要があります。

例えば、歩行で遊脚期の膝屈曲は何筋によって起こっていますか?学生の頃は「膝屈曲筋はハムスト!!」とずっと思っていたのですが実は違います。これは前遊脚期の足関節底屈筋群による踵離地、腸腰筋による股関節屈曲、下腿の慣性によって受動的に屈曲するのです2)

これを知らなければ、患者さんが遊脚期になかなか膝が曲がらないなぁ→ハムストリングスを鍛えるぞ!!となってしまうわけですね。

正常を知ることで、異常動作が見つけやすくなるのはもちろん、なぜそのような動作になってしまうのか、改善の為に何をすればいいのかまで考えられるようになるわけです。

 

 

全体を見る

 

まず、簡単な動作観察を、全体を見て行います。初めは簡単なものでいいです。

・歩幅小さいなー

・右肩がちょっと上がってるなー

・背中曲がってるなー

などなど、第一印象で思ったことをさっとメモするようにしています。個人的にこの第一印象って結構大切だと思っています。

背中が曲がっているなら、
なんで曲がっているんだろう?座っても曲がる?寝転んだら?「まっすぐに伸ばしてください」と口頭指示すればできる?
なぜ?を繰り返していきます。そうすれば、見たい評価がどんどん増えてきます。

 

 

相に分けてみる

 

実習で初めて歩行を見させてもらった時、早すぎて今どこで何が起こってたの!?!?となったのを覚えています。

そこで教えてもらった方法が細かく相に分けるという方法です。

やり方はシンプルで、歩行であれば平行棒内などで測定したい下肢を一歩前に踏み出す、元に戻るを繰り返してもらえば、踵接地~荷重応答期をみることができます。

 

患者さんに触れる

 

学生の頃の動作分析のイメージって、少し遠くから患者さんを見ることだと思っていました。冒頭で述べた通り、理学療法士の手を使うのが正しい動作分析です。
簡単な例でいえば、筋の収縮を触診するですね。「この動作では○○筋が収縮するはずなのに、この人は全然していない・・・○○筋の筋力測ってみよう!」と繋がるわけです。

 

動作が始まる前も分析する

動作が始まる前から動作分析が始まります。構えや準備が動作の遂行を決定している1)ともいわれています。臥位、座位、立位の姿勢の観察からまずはしっかりと行いましょう。

 

環境を変えてみる

・立ち上がりであれば、ベッドや椅子の高さを変えてみる

・歩行であれば狭い通路を歩いてみる

など環境を変えて動作を見るのも重要です。環境を変えてできなくなる部分を見つけることで、より問題点を見つけやすくなります。

 

真似をする

患者さんの真似をすることで、その動作をする際にどこに力が入るのかどの運動が起こりにくいかを自らの身体を通じて確認できます3)。ただこの真似というのはしっかりと動作観察ができていないとできない方法でもあります。動作観察自体がなかなかできていないという方は次に紹介する方法も試してみてください。

 

動画を撮る

初めに理学療法士の目と手を用いたのが動作分析だと言いましたが、それ以外の方法も今はあります。

一番簡単なのは動画を撮らせてもらうこと。私の職場には、動画を撮る専用のタブレットがあるため、患者さんの許可を得た場合はできるだけ立ち上がりや歩行などの動画を撮らせていただくようにしています。

動作分析の難しいところは、短い時間で行わなくてはいけないことだと思っています。熟練者は一度見ただけですぐに問題点を見つけられるかもしれませんが、学生や新人は一度見ただけではわからないことがほとんどです。

歩くのがしんどい、痛い患者さんを何度も何度も歩いてもらって、動作を見るのってどう思いますか?信頼関係がなくなりますし、何より病態の悪化につながる可能性もあります。

そのため、動画で撮っておけば、あとで何度も見直すことができ、ゆっくりと細かく動作を見ることができます。

もちろん、職場内で動画撮影が可能か、患者さんへの撮影の許諾の有無は必ず確認しておくようにしましょう。

 

先輩方を頼る

新人は絶対これをやった方がいいです。
自分が休む際に、代診として先輩に診てもらうことも結構あるかと思います。次にその先輩にあった日に、根掘り葉掘り動作について聞いてみましょう。自分で何も考えずに聞きに行くのはだめですが、自分は何を考えてどのような方法を試しているか伝えれば、大体の人はアドバイスをくれると思います。
経験がある人の意見をインプットするのは本当に大切です。

 

まだまだ私も苦手な動作分析、今回の内容をもとに何度も繰り返し練習して経験を積んでより良い動作分析ができるようになっていきましょう!

本記事の執筆・監修・編集者

 

✅執筆(よーしょー先生)✅記事監修(✅編集(てろろぐ

 

(この記事は理学療法士が監修・執筆しています)

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参考文献

1)高橋正明,他:臨床動作分析.東京:株式会社医学書院; 2001.pp.46-53.

2) 石井慎一郎: 動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクス基づく臨床推論の実践 東京: 株式会社メジカルビュー社; 2013. pp.1-200.

3)鈴木俊明, 西守隆:動作観察・動作分析.理学療法基本技術. 2003;3:33-39.