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片脚立位を評価・トレーニングとして活用する方法

 

#片脚立位 #評価 #トレーニング ( 公開日:11月17日 20:00 )

片脚立位は特別な機器がなくても簡便にできる検査・トレーニングなので、
みなさんも1度は患者さんにやってもらったことがあると思います。
日常生活の中でも、歩行や階段、浴槽の跨ぎ動作などで片脚立位が必要になる場面が多く見られます。

 

また片脚立位はバランス能力や筋力低下を見るだけでなく、
ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)
を予防するためのトレーニングとしても使われています1)

今回はそんな片脚立位について深堀りしていこうと思います。

 

片脚立位のカットオフ値

まず、検査で重要視するのはカットオフ値かと思います。


15秒以下だとする文献もありますが、片脚立位のカットオフ値は多くの文献で、
・「5秒」を下回るとIADLの低下2)
・独歩自立の可否3)
・転倒外傷のリスク4)
など日常生活が制限されるバランス能力の低下が起きるとされています。

また、10秒以上可能だった場合、そのうちの85%以上が実用速度での歩行が可能でした。5)

 

まずは片脚立位を5秒できるかどうかを第一の判断として行いましょう。

片脚立位をできない原因は?

片脚立位に影響する因子として、
体幹と支持側下肢アライメント
・股関節外転筋力
・筋骨格系の疼痛
・運動パターン  
などが挙げられています6)

 

また、筋力も股関節外転筋だけでなく、
脊柱起立筋、内腹斜筋、腰部多裂筋等体幹の筋が関係していることも報告されています7)

 

この中でも特に代表的なものとして、
トレンデレンブルグ徴候やデュシャンヌ現象といったことを起こす、股関節外転筋力の低下です。

 

パウエルの理論から、
片脚立位で骨盤を安定させるために
股関節外転筋力は体重の3倍の外転モーメントが必要だとされています8)

 

この体重の3倍の力が発揮できなければ骨盤の下制が起きる原因となります。

 

骨盤の前後傾、前方・後方回旋も重要

立位姿勢が骨盤後傾の方は片脚立位の姿勢制御が不良であったことが報告されています6)

 

片脚立位時に作用する股関節外転筋大殿筋・中殿筋・大腿筋膜長筋だと言われており、
骨盤後傾位では大腿筋膜張筋が活動しやすくなり、
筋の不均衡が生じ、その結果姿勢制御が不良になるとされています。

 

また、右片脚立位での骨盤の右後方回旋は、
股関節は屈曲・内旋するため股関節後方筋群の発揮効率も低下、
トレンデレンブルグ兆候がより生じやすいとも報告されています9)

 

このことから、片脚立位では骨盤の下制といった傾斜だけでなく、
後傾しているかや後方回旋していないかなども確認が必要です。

 

評価では、筋肉の疲労も考慮する必要がある

歩行の際にトレンデレンブルグ兆候が見られるからということで、
片脚立位にて骨盤の下制を評価することは臨床で多々あることかと思います。

 

しかし、
股関節外転筋の筋疲労によって重心動揺の増加や、
脊柱起立筋の活動によって
・骨盤の水平維持
・片脚立位維持  を行っている可能性も報告されています10)

 

そのため、筋力増強訓練前後での違いの評価を行うことや、
触診や筋電図等を使用し、筋の活動を確認する必要があると考えます。

 裸足評価の必要性

みなさんは片脚立位を平行棒の中で靴履いてしていませんか?

 

マット状などで裸足になってもらい、観察するのも大切だと思っています。
脳卒中の患者様で、片脚立位などを行うとクロートゥとなり、
支持基底面を狭めてしまう患者様に何人か出会いました。


ただでさえ静止立位に比べ支持基底面を狭めているのに、
足趾を屈曲してしまえばさらに支持基底面を狭めることとなります。

 

入職してすぐは靴を履いた状態で歩行や片脚立位などを見ていることが多かったです。
でも実際患者さんは家に帰るとしたら、靴を脱いで生活する場面も多いです。

 

片脚立位に限らず、靴を脱いだ状態での評価はとても大切だと感じています。

 高齢者のトレーニングとしての片脚立位

前述した通り、ロコモを予防するためのトレーニングとして片脚立位が推奨されています1)
方法は左右とも1分間1セットとし、1日3セット片脚立位を行うだけです。

 

また転倒予防として、必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
もちろんふらつきが多い場合は支えに手や指をついて行っても大丈夫です。

 手や指をついた場合、片脚立位の効果は変わるのか?

せっかくトレーニングとして片脚立位を行うのに、
手や指をついたら効果が軽減してしまうのではないのでしょうか?

 

ライトタッチ(指先などで1N以下の軽く触れる程度の支持)では、
大殿筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動が
何も持たない場合と比べ、有意差がなかったことを報告されています11)

 

またライトタッチでは、
何も持たない場合に比べ、足圧中心動揺が減少するとも報告されています。

 

つまり、バランスや筋力低下が見られる高齢者でも、
ライトタッチでの片脚立位であれば安全性を高めたうえで、トレーニングができる
ということです。

 片脚立位の難易度を上げる方法は?

片脚立位をすること自体が難しいという方もたくさんいらっしゃいますが、
逆に片脚なんていくらでも立ってられるわ!!なんて方もいらっしゃるかと思います。

 

片脚立位の難易度を上げる方法としては

難易度を上げる方法

①上肢挙上(重心を高くする)

②閉眼する(視覚情報をなくす)

③バランスディスクの上で行う(環境を変える)

④挙上している下肢を前後に振る、腰部を回旋する
(動的なバランスの要素を加える)

 

 

などがあげられます。

 

今回は片脚立位について深堀させていただきました。


私も普段何気なく評価として行っていた片脚立位ですが、
実は歩行できるかどうかの指標や、トレーニングとしても使用可能です。


片脚立位を上手く活用して、臨床で生かしていきましょう。

 あなたへのおすすめ記事

 参考文献

 

1) ロコモチャレンジ推進協議会:https://locomo-joa.jp/check/ test/two-step.html.こちら

2)Vellas BJ,Rubenstein LZ,et al.:One-leg standing balance and functional status in a population of 512 community-living elderly persons.Aging(Milano)9(1-2):pp95-98,1997.こちら

3)津田泰路,加嶋憲作,他.:左右脚の片脚立位時間と歩行自立度の関連-運動器疾患のない高齢入院患者における検討-.総合リハ47(7):pp677-681, 2019.こちら

4)Vellas BJ,Wayne SJ,et al.:One-leg balance is an important predictor of injurious falls in older persons.J Am Geriatr soc 45(6):pp735-738,1997.こちら

5)津田泰路,加嶋憲作,他.:左右脚の片脚立位時間と実用歩行速度との関係-高齢入院患者における検討-.高知リハビリテーション専門職大学紀要:pp23-27, 2020.こちら

6)桑原 大輔,梅原 拓也,他.:健常者における片脚立位の姿勢制御機能に及ぼす骨盤・下肢アライメントと身体機能的因子の検討.理学療法の臨床と研究 30.pp73-80,2021.こちら

7)鈴木 哲,平田 淳也,他.:片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺との関係.理学療法科学 24.pp103-107,2009.こちら

8) 石川朗, 河村 廣幸, 他.: 運動器障害理学療法学Ⅰ 東京: 株式会社中山書店; 2011. p.78.こちら

9)永井 聡,対馬 栄輝:股関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く.東京:株式会社メジカルビュー社; 2018.p90.こちら

10)松田 雅弘, 高梨 晃, 他.:股関節外転筋疲労が片脚立位姿勢の制御と筋活動に及ぼす影響. 理学療法科学 26(5).pp679-682,2011.こちら

11)新井 智之, 伊藤 健太, 他.:片脚立位におけるライトタッチの効果-ロコモーショントレーニングの基礎的検討-. 理学療法科学 34(5).pp559-564,2019.こちらr

(この記事は理学療法士が監修・執筆しています)