動作分析での悩み 新人セラピスト成長記録(回復期)#02

動作観察と動作分析

 学生の時に2週間の評価実習の後、同級生から「動作分析って何を見ればいいの?」と質問されたことを覚えています。その時は私も正常動作と比較して相違があればそれを記述する作業という捉え方でした。しかし、それは事象をあるがままに捉えて表現すること、つまり「観察」になっていました。それに対し「分析」とは「なぜ、そのような動作になっているのか」、「なぜ、その動作の遂行が困難なのか」など、問題の原因を解明することです。私は臨床で「なぜ、これらの動作が見られるの?」と原因を聞かれた時、何も答えることができませんでした。そして、動作障害の原因は観察した現象から直接的に導き出せるわけではなく、様々な所見を基に推論を重ねることで特定できると学びました。また、そこが動作分析の難しいところだと思いました。

仮説の立案と検証

 原因を明らかにするためには、仮説と検証を繰り返さなくてはなりません。私は先輩セラピストから「常に評価をしながらリハを実施するように」と教わりました。私のために分かりやすくしていただいたのだと思いますが、つまり患者の反応を観察し、そのような反応が起きる原因について仮説を立て、それを検証するための検査を行い、動作障害の原因を特定し、理学療法プログラムの立案・実施をするようにとのことだと思います。当時の私は知っているはずなのに、実際にそれが出来ていませんでした。臨床で気づかされることで本当に心に残りました。現在も先輩セラピストの言葉は私の指針となっています。

動作観察のコツ

 話が戻りますが、「何を見ればいいの?」という疑問は私自身もあります。そこで動作観察のコツを教わりました。
 ①多角的に捉える
  ・五感全てで感じる
  ・様々な視点で捉える
 ②見たままを表現する(事実・解釈・印象を区別する)
  ・感じられないもので表現しない
  ・先入観、固定観念に囚われない(考え方・価値観で捉え方が変わる)
 ③尺度や基準を設ける
  ・正常パターンと比較
  ・左右差で比較
  ・動作の妥当性(正常じゃなくてもよい)
 ④初回の動作を見逃さない
  ・2回目以降は誤差修正などの学習が影響するため、再現性や普遍性が低い
    →反復で変化していること自体も評価になる
 ⑤多くを求めすぎない
  ・一度に多く、細かく見過ぎない
  →情報が多く、解釈の難易度UP
  ・まずは1、2箇所(逸脱動作と代償動作)
  ・徐々に観察場所を増やし、ストーリー(論理的に)を作る

動作観察のポイント

 臨床でよく観察される逸脱運動と代償運動。逸脱運動とは正常通り行えず、異なる運動形態をとってしまうこと=正常から外れた運動です。代償運動とは主な原因に付随して生じる現象です。例えば、トレンデレンブルグ徴候、デュシャンヌ現象で考えると逸脱運動は骨盤の挙上、下制です。代償運動は体幹の側屈、過剰な骨盤側方移動です。
また、ある動作の特定の相で観察された逸脱運動はその他の相や別の動作でも出現するかどうか確認する必要があると思います。例えば、立脚初期から中期にかけて膝関節の過伸展(back knee/extension thrust pattern)が観察されたとします。これは見て分かる現象なので逸脱運動として確認しやすい印象です。しかし、ここで悩むのがこの現象の原因です。これまでの学びから原因に対する仮説として膝関節の伸展拘縮、大腿四頭筋の著明な筋力低下または弛緩性麻痺、大腿四頭筋の過剰な緊張または痙縮、足関節の底屈拘縮または下腿三頭筋の過剰な緊張による背屈制限、LRでの前脛骨筋の筋活動低下(背屈モーメント低下)などが挙げられます。そして、これらの仮説から本当の原因を絞らなければなりません。
原因を明らかするには?
・患者の診断名、病態の把握
  →整形疾患や脳血管疾患など。整形疾患であれば中枢神経系の障害による底屈筋群や大腿四頭筋の痙縮による過緊張、大腿四頭筋の弛緩性麻痺という仮説は除外されます
・遊脚期に膝関節の屈曲が観察される場合
  →膝関節の伸展拘縮という仮説は除外されます
・立位で踵接地して下腿を垂直保持した姿勢が保てる場合
  →足関節の底屈拘縮、下腿三頭筋の過剰な緊張による背屈制限という仮説は除外されます
・評価して証明する
  →筋力検査による大腿四頭筋の筋力低下の有無
これらのようにまずは消去法により絞っていきます。

また、急に出現する現象もあると思います。これらから、理学療法評価は初期評価、中間評価、最終評価だけでは不十分ですし、「常に評価をしながらリハを実施する」ことの大切さが分かります。そして、動作観察・動作分析はその中でも常に評価・考察する場面が多く、奥深くて難しい分野です。

今回は理学療法士として、とても広くて深い「動作分析」の中でも「序」の部分になってしまいましたが、次回は動作観察・動作分析から臨床推論までの範囲で新人セラピストの悩みと学びを執筆したいと思います。


この記事のライター:後藤祐貴先生

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