TKA術後の症例を担当させて頂いた経験からの学び・悩み・疑問 Part1 新人セラピスト成長記録(回復期)#07

今回はTKA術後の症例を担当させて頂いた経験から学んだこと、悩んだこと、今後活かしていきたいことなど執筆したいと思います。
私は学生時代の臨床実習でTHA、TKAなど人工関節置換術を施行した症例を経験する機会が少なく、今回の経験で改めて勉強不足であったと実感しました。あくまで一つの例ではありますが、これらの内容を執筆することで先輩セラピスト方に新人セラピストはこれらの事に悩んでいると知って頂き、声かけやアドバイスなどを頂ければ幸いです。

TKAの基本アプローチ

「術創部・術創部周囲」、初回介入で始めに確認するのではないかと思います(画像所見、情報収集、全体像、自己紹介、認知機能などは除きます)。そこで私が確認したのは発赤・熱感・腫脹・疼痛などの炎症症状、浮腫などの循環不全などです。しかし、手術のアプローチ法の知識が無く、評価することができませんでした。アプローチ法により切開部位や特徴が様々であり、術後の運動機能に関わります。その為、アプローチ法により理学療法プログラムも考えられるのではないかと思います。
今回は内側からのアプローチ3種類を取り上げたいと思います。

Medial Parapatellar Approach

TKAの最も一般的な術式(内反変形の場合)。
切開部位:内側膝蓋支帯、内側広筋
メリット:広い手術スペースの確保。手術時間の短縮。
デメリット:侵襲範囲の増大。内側広筋を広範囲に切開することによる膝関節伸展機能の低下。炎症期間の超過

Midvastus Approach

切開部位:内側膝蓋支帯、内側広筋
メリット:Medial Parapatellar Approachと比較し、内側広筋の切開範囲が少なく、内側広筋の斜走線維に沿っての切開である為、筋線維への侵襲が少ない(膝関節伸展機能をより残存させることが可能)。手術による出血量の減少。
デメリット:手術スペースが狭く、インプラントの正確な設置がより困難となる。変形が強い膝関節には向かない。筋内血種ができるリスクも上がる

Subvastus Approach

切開部位:内側膝蓋支帯
メリット:Midvastus Approachよりもさらに内側広筋を避けることで膝伸展機能をより多く残存させることが可能。
デメリット:Midvastus Approachと同様に手術の難易度が上がる。

侵害受容性疼痛(今回は炎症性疼痛について)

多くは術後に炎症性疼痛が出現すると思います。炎症に対しては物理療法を用いる場合が多い印象です。私はアイシング等による寒冷療法をリハ時間外(リハ介入後にアイスノンを渡し、患者さん自身で冷やしてもらう)で実施しました。リハ時間外に物理療法などを実施することで効率化できると思います。
もちろん、ストレッチやモビライゼーション、関節可動域運動などセラピストが直接的に介入する必要があるとも思います。

神経障害性疼痛

術後の疼痛に対して侵害受容性疼痛だけでは無く、「ビリビリする」といった神経障害性疼痛の訴えもみられる時があります。
本症例では伏在神経、腓骨神経、脛骨神経領域に痺れの訴えがあり、腓骨神経、脛骨神経ではTinel sign陽性認めました。また、足底・足趾の感覚障害、足底部に「石があるような感じ」などの異物付着感がみられました。また、夜間時痛による睡眠時間の減少もみられました。
原因を特定するのは困難であると思いますが、例として、手術による皮神経(伏在神経)の損傷、アライメント不良から筋線維などによる神経の圧迫、浮腫による神経の圧迫などの可能性が考えられました。
本症例では薬物療法を併用しながら理学療法ではモビライゼーションや弾性包帯(浮腫の改善目的)、運動療法などを実施しました。最終的に痺れの訴えは脛骨神経領域のみとなり、異物付着感も軽減しました。しかし、神経障害性疼痛に対する理学療法としてどのようなアプローチを実施するのが良いかは現状も悩んでいる点です。

運動負荷量

今回、入院初期のリハで悩んだのは荷重下での運動(立位ex、歩行ex)量をどうするかです。最初は課題内容として荷重下での学習を進めたい気持ちがありましたが、炎症症状、浮腫、関節水腫(膝蓋跳動テスト陽性)、膝蓋骨の可動性低下、膝蓋靭帯や膝蓋下脂肪体(Hoffa疼痛誘発テスト陽性)の柔軟性低下などから関節内圧が亢進している可能性があり、筋出力も十分に発揮できていないことから膝関節へ過度なストレスがかからないよう考慮する必要がありました。その為、上記の問題点の改善に努めながら非荷重下でも歩行へ転移可能な運動課題の提供も実施しました。
ストレッチ、モビライゼーション、関節可動域運動、筋力増強運動、起立練習、立位練習、歩行練習など負荷量、時間配分は今後も難しい課題であると感じます。

今回は入院初期の評価の一部とプログラムを立案する上での負荷量の設定でそれぞれ学んだこと、悩んだことについて執筆しました。実際に臨床で働く中で、学校の3,4年間は本当に短く、まだまだ学ぶ必要があると改めて感じます。
次回は姿勢・動作分析から運動機能障害の評価について学び・悩み・疑問を執筆したいと思います。

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