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脳卒中, 認知機能, 運動療法|2022.04.22|最終更新:2022.04.22|理学療法士が監修・執筆しています
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はじめに
脳卒中後認知障害(Poststroke cognitive impairment:PSCI)とは、
脳卒中後6カ月以内に認知機能障害の診断基準を満たす一連の症候を指し、
脳卒中後1年以内の有病率は7.4~41.3%と言われています[1]。
PSCIでは…
が出現し、
特にワーキングメモリーが障害されると言われています[2]。
PSCIに対しては、運動と認知の複合介入が有効と考えられていますが、認知機能に対しての有効性については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「脳卒中後の認知機能障害に運動と認知の複合介入は有効か?」という疑問に応えてくれる論文です[3]。
研究概要
2021年に中国のSunらの研究チームは、2020年7月までに登録されている5本の論文を解析しています。
対象
対象者数:362名(25~225名)。
脳卒中発症後期間:6か月未満(1件)、6か月以上(4件)。
介入頻度
総回数:18~48回。
訓練頻度:週2~3回。
訓練時間:30~60分。
介入内容
- 有酸素運動、抵抗運動、コンピュータ支援認知トレーニング付きのバランス運動。
- 有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動に、計画、論理、意思決定、学習能力を改善するように設計された娯楽および社会的活動。
- バランス運動と認知トレーニング(逆唱、順唱、逆唱、単語連想、計算、注意、抗干渉能力トレーニング)。
-
結果
効果あり | 効果不明 |
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ただし、研究数が少なく、研究方法にバラつきがあるため、更なる調査が必要と述べられています。
まとめ
運動と認知の複合介入は、
・遂行機能
・注意機能
・ワーキングメモリー
などに効果があるようです。
今回、効果不明に入った検査に関しても、報告数が少ないだけで、
今後調査が進めば有効性が認められるかもしれません。
そのため、脳卒中患者さんの認知機能低下の予防、改善には、運動と認知課題の複合介入を行うのが良さそうです。
本記事の執筆・監修・編集者
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薬物療法だけでは治療が困難な抵抗性高血圧の患者さんでは、身体活動や運動プログラム、有酸素運動を追加することは血圧低下に有効な可能性があるそうです(メタ解析)。https://t.co/Icx4n1BRzG
— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) April 7, 2022
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参考文献
[1] Kalaria, et al. Biochim Biophys Acta. 2016 May;1862(5):915-25.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26806700/
[2] Jaillard, et al. Stroke. 2009 Jul;40(7):2473-9.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19461036/
[3]Sun, et al. Biomed Res Int. 2021 Nov 17;2021:4558279.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34840972/