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【労災】職場で生じた腰痛に対して身体的・精神的な介入は有効?

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腰痛疼痛|2022.05.13|最終更新:2022.05.13|理学療法士が監修・執筆しています

本記事の結論

  • 職場への腰痛に対する介入は身体・QOLに効果がある。
  • 一方で一度腰痛を発症した人の復職率に効果は乏しい。
  • 今後は腰痛を予防する対策とともに、復職のための現場介入を検討する必要がある。

はじめに

腰痛は職場の生産性損失、欠勤、生活の質の低下の主な原因となっており、世界的に重要な疾患です[1]
腰痛には職場環境によるストレスが影響を与えていることが報告されています[2]
腰痛は病気休暇や持続的または再発性の障害を引き起こすことが多く、重要な社会経済的負担となっています[3]
腰痛には運動療法や認知行動療法などが非薬物療法としての有効性が認められていますが、複合的な要素で構成されている職場介入の効果については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「労働者の腰痛に対して職場介入は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[4]

研究概要

2021年にイタリアのRussoらの研究チームは、過去20年間に登録された14本の論文を解析。

対象

対象者数:3197名(介入群1837名、対照群1360名)。
平均年齢:介入群29.6~52歳、対照群26.6~51歳。
職種:看護助手または医療従事者(6件)、事務職(2件)、自動車産業従事者(1件)、製造業従事者(1件)、肉体労働者(1件)、職種不詳(3件)。
介入内容:仕事に関する評価と仕事の修正を伴う職場評価(4件)、教育プログラムと人間工学的姿勢訓練セッション(6件)、職場における監視下での筋力、柔軟性、安定化、持久力の複合運動介入(6件)、自己管理に対する行動カウンセリングと認知行動療法(2件)。
調査期間:3~24カ月。

結果

介入群対対照群

効果あり 効果不明
  • 腰痛
  • 機能障害
  • 仕事と精神活動のための恐怖回避信念
  • QOL
  • 腰痛の再発
  • 作業能力
  • 病気休暇の数
  • 病気休暇日数
  • 職場復帰率

ただし、対象者や方法にバラつきがあるため、更なる研究が必要と述べられています。

まとめ

労働者の腰痛に対する職場介入は、身体的や精神心理的な側面には効果が認められましたが、休養が必要になったり休養後に職場に復帰したりすることに対しては効果が認められなかったようです。
今後の課題としては、いかに休養が必要な人や日数を減らし、復職をしてもらうかが、社会経済的に重要になってくるのではないかと思います。

本記事の執筆・監修・編集者

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参考文献

[1] Fan, et al. Pain Manag. 2016 Nov;6(6):553-559.

[2] Russo, et al. BMC Musculoskelet Disord. 2020 Nov 12;21(1):738.

[3] Lambeek, et al. Spine (Phila Pa 1976). 2011 Jun;36(13):1050-8.

[4] Russo, et al. Int J Environ Res Public Health. 2021 Nov 30;18(23):12614.

 

この記事のライター
宇野勲先生