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栄養, トレーニング, 回復期|2020.11.21|最終更新日:2022.03.19|理学療法士が監修・執筆しています
はじめに
世界中が高齢化してきており、サルコペニアは社会問題化してきています。
サルコペニアは転倒や日常生活自立度の低下などの有害事象の原因となり[1]、医療コストの増加につながることが報告されています[2]。
サルコペニアの改善には筋トレだけでなく栄養介入も併用することが重要である可能性がありますが、先行研究では一貫した結果は得られていませんでした[3]。
今回紹介する論文は「栄養介入と筋トレの併用は筋肉量や筋力向上に有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[4]。
研究概要
2021年に韓国のChoiらの研究チームは、2020年7月までに登録されている22本の論文を解析。
対象
対象国:カナダ、日本、ブラジル、オランダ、アメリカ、フランス、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、イギリス。
対象者数:14~161名。
介入期間:8週間(1研究)、12週間(13研究)、14週間(1研究)、18週間(1研究)、24週間(9研究)。
運動介入:2回/週(6研究)、3回/週(16研究)の監視型運動プログラム
栄養介入:タンパク質(8研究)、クレアチン(5研究)、長鎖n-3多価不飽和脂肪酸(PUFAオメガ3)(2研究)、カルシウム(1研究)、マスリン酸(1研究)、ビタミンCとE(2研究)、クレアチンとリノール酸(1研究)、クレアチンとタンパク質(1研究)、ビタミンD(1研究)、3種類以上を含む複合栄養成分(3研究)。
結果
運動と栄養の複合介入による効果
効果あり | 効果不明 |
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栄養介入別の効果
効果あり | 効果不明 |
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ただし、対象者の選定方法や栄養介入の方法にバラつきがあるため、更なる研究が必要と述べられています。
まとめ
今回の調査では、対象者が比較的健康で、習慣的な食事で必要量を摂取できている高齢者が対象となっていたことが、栄養介入の付加効果が認められなかった要因であることが考えられます。
サルコペニアやフレイル、低栄養状態の高齢者に対象を限定して、運動に栄養介入を加えた効果を検証していく必要があると思います。
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嚥下機能の評価を行っている高齢患者では、認知機能が低いと嚥下機能が低く、特にMMSE<10点未満の群では嚥下機能と有意な関連が認められたそうです。https://t.co/Uwc1exxKNt
— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) March 16, 2022
参考文献
[1] Santos, et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2017 Apr;8(2):245-250.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27897417/
[2] Steffl, et al. Clin Interv Aging. 2017 Nov 27;12:2003-2007.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29225462/
[3] Denison, et al. Clin Interv Aging. 2015 May 11;10:859-69.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25999704/
[4] Choi, et al. BMC Geriatr. 2021 Nov 12;21(1):639.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34772342/