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医療経営, 経済,2021|2022.04.11|最終更新:2022.04.11|MHA取得者が執筆しています
厚生労働省は医療経済実態2021を公表しました。
新型コロナウイルス感染拡大による影響をチェックし、今後の医療経営に活用します。
皆さんはどんな印象ですか?
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医療経済実態調査とは?
医療経済実態調査は2年に1度。
病院、一般診療所、歯科診療所及び保険薬局における医業経営等の実態を明らかにし、
社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備するために実施されます。(厚生労働省)
調査事項は基本データ、損益、給与等です。損益、つまりP/Lを見ることになります。
そのため医療機関の実力(貸借対照表:B/S)ではなく、1年間の営業実績として見ることが重要です。
概論:医療機関の経営実態
まずは概論。一般病院の損益率は6.9%の赤字。19年度の3.1%と比較して、さらに悪化していました。
しかし、病床確保料などのコロナ関連の補助金を含めると0.4%の黒字となりました。
補助金があって良かったというのが経営陣の正直なところだろうと思います。
・コロナの補助金は一般病院には1施設あたり平均約2.4億円支給された。
・コロナ患者の専用病棟を持つ重点医療機関では約10億円だった。
・診療所には70万円程度だった。
実に巨額ですね。ここで大変興味深いデータをお示しします。おやっと思うところは、診療所への補助金が少ないことです。この前提を持って、読み進めてください。
各論:病院機能と病床機能の側面から解説
概論は、全体を平均したものです。そのためここからは、病院機能(入院機能の有無、運営母体の違い)と、病床機能の観点から掘り下げていきます。
まずは病院機能から。医療法人は補助金を除いても黒字でした。
一方、国立病院、公立病院、公的病院、社会保険関係法人病院、その他では赤字であり、補助金を含めて黒字になるという実態でした。
また、診療所については、入院機能の有無にかかわらず、補助金なしでも黒字でした。ちなみに歯科と薬局は補助金なしでも黒字、精神科病院は補助金によって黒字という結果でした。
次に病床機能です。急性期一般入院基本料1~7のいずれにおいても、補助金によって黒字でした。
地域一般入院基本料1~2は同様でしたが、基本料3は補助金を入れても赤字という結果でした。
ただし興味深いことは、国公立を除いた場合、急性期一般入院基本料2~3において補助金なしでも黒字でした。療養病床については、補助金なしでも黒字でした。
考察
✅医療法人は民間であるため、経営努力を行ったため黒字であった。経営努力がすべて正しいわけではないですし、公立・公的・国立病院が経営努力を怠っているわけではない。
※コロナ病床を稼働させるために利益を犠牲にせざるを得ない場合もあり、留意が必要。
✅黒字を保っている病院は介護収益を持っている場合が多い。
✅療養(住まいではないが住まいに近い機能)はコロナの影響を受けにくい。
✅診療所の黒字についてはワクチン接種による影響が考えられる。
医療経済の今後
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私達にできること
医師会は補助金に頼らずに経営できるように、診療報酬の引き上げを要求しています。
一方財務省は、医療法人や診療所・薬局は経営状態を黒字に保っていたことから、診療報酬の引き下げを主張すると思われます。
この綱引きの結果がどうなるかはわかりません。そんな時にできることは、
最悪に備えることです。
今回黒字を維持した特徴を考察で述べましたが、特に診療所や病床が少ない小規模病院は介護事業への進出が不可欠になると思われます。
新規事業に乗り出せば、スタッフの数も増え、経営に注ぐリソースは増えます。
しかしそうしなければ、生き残ることが厳しくなります。診療に多忙な病院長が経営にリソースを割くことは難しいと思います。経営人材が必須となる時代に突入しました。
執筆・監修
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特に成果が求められるスタートアップでも同様。スタートアップはスピードが求められますが、睡眠は絶対に削らない。成果が求められるからこそ、それに応じた心身の状態が必要。専門家とタッグを組むスタートアップが増えると思う。 https://t.co/kEsHYGFdSG
— 梅木駿太|Re-FREE 代表 (@shunta_umeki) April 5, 2022
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